貴乃花と八角、「対立の根源」とは 新著が伝える北の湖亡き後の紛糾理事会

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   日馬富士暴行事件でクローズアップされた、日本相撲協会の八角親方と貴乃花親方の「対立構図」。その影にはある人物がいた――。そんな内容を伝える書籍『貴の乱 日馬富士暴行事件の真相と日本相撲協会の「権力闘争」』が宝島社から2018年2月22日に刊行される。

   同書では、当時「顧問」だったその人物をめぐり、両親方が火花を散らせた理事会の「議事録」を独自に入手したとして掲載。荒れ模様が生々しく記録されている。

  • 『貴の乱 日馬富士暴行事件の真相と日本相撲協会の「権力闘争」』(宝島社 2018年)
    『貴の乱 日馬富士暴行事件の真相と日本相撲協会の「権力闘争」』(宝島社 2018年)
  • 『貴の乱 日馬富士暴行事件の真相と日本相撲協会の「権力闘争」』(宝島社 2018年)

「顧問」の出席を求める貴乃花親方

「おかしいですよ、顧問がここにいないのは」

   貴乃花親方が理事会で発した言葉だ。後述するが、貴乃花親方が八角親方に食って掛かる場面は枚挙に暇がない。

   時は2015年12月18日の理事会にさかのぼる。その約1か月前に北の湖理事長(当時)が死去。この日は新理事長を決める理事会になるとされていた。同時に、議題にあがっていた事業計画や予算を協議するには「顧問」がいないと話にならないなどの理由から、貴乃花親方側は出席を求めた。

   「顧問」とは小林慶彦・元相撲協会顧問。書籍『貴の乱』で協会の「腐敗の元凶」と表現されている人物だ。直近で思い起こされるのは、春日野部屋の暴行事件が3年以上公表されていなかった問題で、春日野親方が当時の報告先の1つとしてあげた「顧問」が、小林氏だ。

   同書によれば小林氏は当時、故・北の湖理事長が目をかけていた貴乃花親方を新理事長にしようと接近。一方、利権をめぐる「黒い噂」(同書で詳述)が絶えなかった小林氏を、八角親方(当時・理事長代行)側は切りたがっていた。

   同書中の「議事録」によれば貴乃花親方は、生前の北の湖理事長が小林氏を「顧問」より上位の事務職員トップ(「事務総長」などの肩書き)とする辞令を出していたと主張。八角親方とこんなやり取りを繰り広げている。(貴=貴乃花親方、八=八角親方。カッコ書きは編集部注)

「代行知らないことないですよね」

貴「いや、理事長が目の前で(辞令を出していた)。代行(=八角親方)知らないことないですよね」
八「知りません」
貴「へぇ~」

   「呆れた」と言わんばかりの貴乃花親方の姿が目に浮かぶ。追及を続ける。

貴「代行、そんなこと言うんですか」
八「すみません。まあ、あんまり。あの、おさえて」
貴「おさえてって。代行それ...」
八「見たことないから見たことないって言っている」

   顧問の辞令・出席をめぐって2人に緊迫感が漂う。「代行いいですか、ひとつ」「はい」。「公益法人ですよ、代行」「これは色々事情があって。あの......」。日馬富士事件でメディアを通して見せてきた「沈黙」の貴乃花親方とは対照的な姿だ。

   「議事録」では、出席者の発言内容から「八角派」と「貴乃花派」に分かれた協会の人間模様もありありと伺える。

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