任意というより「非強制」
実際、「任意だから」と職務質問への協力を断ることはできるのだろうか。事務所サイト上で「職務質問」(と任意同行)をテーマにした解説を載せているヴィクトワール法律事務所(東京都中央区)の徳永祐一弁護士に話を聞いた。
「まず、法律上、職務質問への協力は任意であり、拒否することは可能です」
というのが大原則だ。一方で、
「『任意』と表現すると、自身の好き勝手に判断してよい、という風にも聞こえますが、実際上は、『非強制』(警察が強制はできない)という程度に捉えた方がよいと考えます」
と指摘する。職務質問(と任意同行)は、強大な権力の行使であることから人権の観点から批判されることも多い一方で、優れた警察官が、捕まっていない犯罪者や犯罪予備者に適宜に職務質問を行い、任意同行を求めることで、犯罪者の検挙につなげてきたという現実もある。
そうした職務質問の有効性を踏まえると、一般的には質問へは協力した方が「楽である場合が多い」。あえて協力しない場合は、「何かやましい点があるのではないか」と疑われることになり兼ねないからだ。応援の警察官を呼ばれ、数人に周囲を囲まれるケースも実際にある。