平昌五輪の開会式に出席した安倍晋三首相について、北朝鮮が「本当に憎らしい招かれざる客」だとして猛烈に非難した。元々今回の訪韓は、韓国政府の招待に日本側が応じる形で実現し、北朝鮮の核・ミサイル問題に対する日米間の結束を確認することも目的だった。
日本に対する韓国と北朝鮮の立場の違いが明らかになると同時に、北朝鮮としては、日韓の連携にくさびを打ち込む狙いもありそうだ。
「日韓米の緊密な連携」を働きかけ
2018年2月18日付の朝鮮労働党の機関紙、労働新聞に掲載された論説記事では、安倍氏の訪韓について
「1泊2日間にわたって自分の卑屈かつ稚拙な根性を余すところなくさらけ出し、世人の嘲笑の種になった」
と主張。南北の和解ムードに水を差したとして「本当に憎たらしい招かれざる客」だと罵倒した。
「罪多き過去に対していささかの謝罪と賠償どころか、むしろ北と南が互いに和合することに極度に不安を覚えて、玄海灘をあたふたと渡って同族間にようやく醸成された和解の雰囲気に水を差すとのさばったのだから、本当に憎たらしい招かれざる客だと言わざるを得ない」
安倍氏は2月9日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と首脳会談を行い、慰安婦をめぐる日韓合意の履行を改めて強く求めた。北朝鮮については、会談後の会見で
「日韓米3か国の強固な協力関係は、決して揺らぐことはない。そのことを北朝鮮はしっかりと認識しなければならない。北朝鮮には、拉致問題、核・ミサイル問題の解決に向けて具体的な行動を取るよう、引き続き日韓米の緊密な連携の下に、強く働きかけていきたい」
と述べた。これらについても北朝鮮は反発した。
米韓軍事演習の実施要求は「日本反動層の黒い下心を集中的に表した妄言」
慰安婦については
「日本軍性奴隷問題を上書きしようとした安倍の計画は水泡に帰した」
と、合意の無効を主張し、北朝鮮の「ほほえみ外交」を日本が懸念していることについても
「血を分けた同じ民族が互いに会って何をしても、人里離れた島国の国民に何の関係があるのか」
などとかみついた。「島国」は、北朝鮮が日本を批判する際に頻出する単語だ。
安倍氏が五輪・パラリンピック終了後に米韓軍事演習を行うように求めたことについても
「日本反動層の黒い下心を集中的に表した妄言」
と非難した。