原因は「机の上の鏡」だった。帰宅したら家財が黒く焦げており、「収斂(しゅうれん)火災」になりかけたと伝えるツイッター投稿が注目されている。
収斂火災は住宅内に放置していた金属・ガラス類からでも起こり得るため、東京消防庁も注意を呼びかけている。
「太陽光を集めて起こる収れん火災(になりかけたもの)でした」
「帰宅時に焦げ臭い臭いがして火事!?と思ったら収納ボックスとビデオデッキが帯状に焼けていました」と、あるツイッターユーザーが2018年2月6日に投稿。アップされた写真には、一部が帯状に焼け爛れたようなDVD・ビデオデッキと、同じく帯状に黒く焦げて内部が露出した収納ボックスが写されている。
原因は「机の上の鏡」だったといい、「太陽光を集めて起こる収れん火災(になりかけたもの)でした。冬場は特にガラス玉やペットボトルでも起こるそうです注意!!」と続けていた。「収斂火災」とは、太陽光がルーペ・凹面鏡などで反射・屈折して一点に集まり、そこに可燃物があると起こり火災だ。
J-CASTニュースの取材に応じた同ユーザーによると、鏡のサイズは約30センチメートル。自立式の両面鏡で、片面だけ拡大鏡(凹面鏡)になっているという。家庭でメイク時などに使われるごく一般的なものだが、うっかり放置していると収斂火災を引き起こすリスクがある。
東京消防庁が16年5月27日付で発表した資料「収れんの火災に注意を!!」によると、15年までの10年間に起きた収斂火災44件のうち、発生源として最も多かったのは凹面鏡の11件だった。
ステンレスボウルや花瓶でも。対策は?
同資料に併載された事例をみると、窓際のテーブル上にあった凹面鏡で太陽光が収斂し、焦点にあったボックスティッシュから出火した。室内には白煙が漂い、テーブルは焼けたという。
より危険に見舞われた事例もある。共同住宅の一室でソファの肘掛けに置かれていた凹面鏡による太陽光の反射でソファ、クッションから出火。居住者は当時外出しており、自動火災報知設備の作動で防災センター員が駆けつけると、室内には煙が充満していた。共同住宅の他の居住者517人が避難したという。
注意すべきは、太陽光が当たりやすいのは「窓際」に限らない点だ。14日のJ-CASTニュースの取材に答えた東京消防庁によれば、冬場は太陽の位置が低いため、夏場に比べて住宅の奥の方まで太陽光が入り込む可能性がある。その分、住宅内での収斂火災にはより注意が必要という。
また先述の資料によると、発生源は凹面鏡に限らず、ステンレスボウル・洗面器、ガラス瓶・花瓶、さらに冒頭のユーザーもあげていたようにガラス玉やペットボトルなど、一般家庭にある多くの物に危険性がある。東京消防庁によれば対策として、外出時には「カーテンを閉める」ほか「室内の金属類には何らかのシートを被せておく」などがあげられる、とのことだった。