JAL新体制のキーワード 「若返り」と「現場主義」

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国際線の強化が経営を左右

   もうひとつの「現場主義」は、JAL再建を象徴するフレーズだ。赤坂次期社長は1987年に技術系として入社し、主に整備、安全部門を歩み、2014年4月からは整備本部長を務めてきた。JAL再建では、整備部門出身の大西氏、パイロット出身の植木氏の跡を継ぎ、3代続けて運航現場出身といえる人物がトップを務めることになる。利用者、消費者の視点から外れていたことが経営破綻の大きな要因とされるだけに、植木氏が、赤坂氏起用について、「経営に近い本社機構の中に現場を経験した人が一人はいてほしい」と述べたのは、まさに、現場主義が再建のポイントであることを示している。

   赤坂新体制の課題は、ライバルの全日空(ANA)に対抗して、どう成長していくかに尽きる。かつて国際線で絶対的な力を持つ「ナショナルフラッグ」として君臨していたJALだが、ANAホールディングス(HD)傘下のANAの積極的な路線拡大に押され、2016年3月期に利用者数で首位の座を譲った。「8.10ペーパー」の制約で、新規路線開設などでハンディをつけられていたことが響いている。

   JALは2012年に策定した「5年連続営業利益率10%以上」などの目標を掲げた中期経営計画を完遂。17年4月には20年度までの新たな経営計画をまとめている。「挑戦、そして成長」をテーマに、引き続き「フルサービスキャリア事業」を主軸に置いた取り組みを推進するとした。具体的には、国際・国内旅客や貨物郵便などコア領域の売り上げを16年度の1.1倍、新規事業領域は1.3倍を目標値に設定。財務面では営業利益率10%以上、20年度末までに投資利益率(ROIC)9%以上などを掲げた。

   赤坂氏は新計画を着実に進めることが求められるが、会見では「いたずらに規模を追うのではなく、しっかり収益性を確保したい。限られた経営資源をどう配分するかが重要だ」と、慎重に取り組む姿勢を示した。

   とはいえ、ANAだけでなく海外の格安航空会社(LCC)を含めた競争が激しさを増すなか、事業の着実な拡大とて、容易ではない。その点、ポイントになるのは、2020年までに予定されている首都圏空港の発着枠拡大だ。特に、国内重要が伸び悩む中で、海外からの訪日客の増加もあって、国際線の強化が経営を左右する。手薄な羽田空港-欧州路線やドル箱の北米路線を増やすためには、このチャンスを逃すわけにはいかないのだ。ただ、民主党政権時代と、破たん~再建の過程が重なったこともあって、自民党はJALに冷ややかで、かつてのナショナルフラッグ時代のような政治力の復活は望めず、どこまで発着枠を確保できるか、楽観はできない。事業拡大にはパイロット不足への対処も欠かせない。

   赤坂次期社長の肩に、これらの課題がズシリとのしかかる。

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