北朝鮮の「ほほえみ外交」の効果が韓国世論にも浸透しつつあるようだ。
朝鮮労働党の金正恩委員長の特使として訪韓した妹の与正(ヨジョン)氏が文在寅(ムン・ジェイン)大統領に会談した際、文氏の訪朝を求める正恩氏の親書を手渡した。文氏はこれに前向きで、世論調査でも6割以上が南北首脳会談に賛成。仮に会談が実現したとしても、今回の会談のやり取りからすれば文氏が北朝鮮に核・ミサイルの放棄を厳しく迫るとは考えにくく、日米と韓国の溝はさらに広がりそうだ。
賛成61.5%、反対31.2%
与正氏と文氏の会談は2018年2月10日に行われ、聯合ニュースなどによると、文氏は訪朝要請に対して「今後、条件を整えて実現したい」などと応じたという。文大統領だけでなく世論も訪朝に前向きなようだ。調査会社のリアルメーターが2月14日に行った世論調査(15日発表)で南北首脳会談の是非について聞いたところ、「朝鮮半島の平和定着のための出発点として賛成」という回答が61.5%で、「対北朝鮮制裁と圧力が優先なので反対する」の31.2%を大きく上回った。7.3%が「分からない」と回答した。
政治的立場ごとにも賛否を調べた。文氏の支持基盤でもある進歩層は賛成89.1%に対して反対6.6%で、賛成が圧倒的に多い。中道層でも賛成62.7%で反対29.8%と賛成が反対を大きく上回った、ただ、保守層だけは賛成36.5%に対して反対59.6%で、反対が賛成を上回った。
40代が最も「賛成」多かった理由は...?
年齢層別では、すべての年齢層で賛成が反対を上回ったが、最も賛成の割合が高かったのが40代で、賛成72.8%に対して反対23.3%だった。02年に大統領に当選した盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏を押し上げるきっかけになった「ろうそくデモ」を当時主導していたのが、この世代にあたる。文氏は盧武鉉政権で大統領秘書室長などを務め、最側近として知られてきた。それ以外の年齢層では、30代(賛成65.9%、反対28.4%)、20代(賛成65.8%、反対28.1%)、50代(賛成57.5%、反対37.4%)、60代以上(賛成49.3%、反対36.7%)が続いた。
支持率も下げ止まった。リアルメーターが2月15日に発表した2月第2週(2月12日~14日)の文氏の支持率は前週から0.4ポイント低い63.1%(不支持率31.5%)で、3週連続で60%台中盤を維持している。1月第1週には71.6%あった支持率は、「平壌五輪」化が指摘された1月第4週には60.8%にまで落ち込んでいた。