五輪、国別でなく「個人参加にすべき」 作家・森博嗣の提言に「正論」の声も

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   ミステリ作家の森博嗣さん(60)が2018年2月15日、オリンピックへの参加が選手単位ではなく国別で行われていることについて、「どの国から来たかなんて問題にしないで、すべて個人参加にすべき」などとブログで提言した。

   今回のブログで森さんは、開催中の平昌(ピョンチャン)五輪をめぐる一部の国の動向などを受けてか、「オリンピックは完全に政治的なイベントになっています」とも指摘している。

  • 五輪の参加方式に有名作家が提言(画像はイメージ)
    五輪の参加方式に有名作家が提言(画像はイメージ)
  • 五輪の参加方式に有名作家が提言(画像はイメージ)

「スポーツに国境などない、というなら...」

   国際オリンピック委員会(IOC)が採択した五輪憲章では、第6条で「個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない」と明記している。

   ただ一方で、開会式や閉会式の入場行進が国単位だったり、個人種目の表彰式でも入賞選手の国旗が掲げられたりしているのも事実。今回の平昌五輪では、ほとんどの国内メディアが「国別メダル獲得数」をランキング化して特設サイトなどに掲載している。

   また、平昌五輪では組織的なドーピング疑惑が発覚したロシアの選手が、国旗や国歌を使えない「ロシアからの五輪選手(OAR)」という肩書での参加になったことも注目を集めた。

   このように、「国単位」での成績や動向が注目されるオリンピックの現状に疑問を呈したのが森さんだ。15日のブログで、「オリンピックのことをなにも知らない人間が書いているので、本気にしないで下さい」と断りつつも、

「そもそも、国別で参加するというのが間違いでしょう。スポーツに国境などない、というなら、どの国から来たかなんて問題にしないで、すべて個人参加にすべきです。選手団とかやめて、ばらばらでね。個人にメダルを与えれば良いのです」

と違和感を示したのだ。

   その上で、「自分の国の選手だから応援するというのも、実に不思議な現象で、首を捻るばかりです」と、母国選手のメダル獲得に一喜一憂する人々を皮肉ったような一文も寄せている。

「もし、政治色を本気で消したいなら...」

   平昌五輪では、北朝鮮が金正恩委員長の妹・金与正(ヨジョン)氏を特使として派遣。韓国側も文在寅大統領が与正氏と笑顔で握手、さらにはアイスホッケー・南北合同チームの試合をそろって観戦するなど、平昌五輪を舞台に、韓国・北朝鮮の「融和」ムードの演出が続いた。

   今回の両国の動きをはじめ、「スポーツの祭典」と政治の関わり方がたびたび問題視されるオリンピック。こうした点についても森さんは、

「古代ギリシャでのオリンピックは、開催中は一時休戦して集まったそうです。それくらい大事なものだったわけですね。今は、まったく逆ですね。オリンピックは完全に政治的なイベントになっています」

と指摘。続けて、「もし、政治色を本気で消したいなら、政治家は顔を出せないルールにすれば良いのに」とも訴えた。

   ブログの終わりでは、「もちろん、オリンピックが好きだという人がいても良いと思います。全然否定しません」。その上で、

「アイドルにファンがいるように、オリンピックにもファンはいることでしょう。よろしいんじゃないでしょうか」

と、またしてもどこか皮肉気に記していた。

   今回の森さんのブログについて、ツイッターやネット掲示板には、

「極端な理想を言えば間違ってないと思う」
「正論だよな... スポーツに国境は無いとか理念でも選手同士の争いとか言うてるのに国別に枠がある 不思議だ」
「個人競技で国別の枠とかはいらないんじゃないのとは思う」

といった共感の声が寄せられた。一方、「国別無くして盛り上がるわけないだろ」「馴染みのないスポーツで楽しむとっかかりが自国の選手の応援」と、森さんの主張に反論するユーザーも目立っている。

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