疲れにくい空気の条件をあぶり出す
実験施設には、4つの部屋がある。広さは、計約40平方メートル。温度は0.1度単位、湿度は1%単位で設定でき、湿度は30~70%の間で調整できる。
さらに、気流や香り、照明などもコントロール。心拍数や体温、発汗などを計測するセンサーを付けた被験者にこの部屋で集中力が必要な作業を行ってもらい、データを取る。
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被験者の実験室。パソコン作業時のデータを計測する。
たとえば夏や冬、営業先からオフィスに帰社する場面を想像しよう。おそらく外との温度差にさらされ、人体にある程度の負担が生じるだろう。
被験者はまず、夏か冬に近い温湿度に設定した「前室」で体を慣らした後、オフィスの室温にあたる20~30度の実験室に入る。そこでパソコンの画面にランダムに並んだ文字から特定の文字を探す、といった作業に没頭する。
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被験者のモニタリングを行う制御室
隣の制御室ではその間、緊張やストレスを感じると働く交換神経の活発度を計測する。こうして「疲れにくい空気」の条件をあぶり出すのだ。
被験者は一般人からも募集し、約200人(のべ1200回)の参加を目指す。その上で、得られた知見をもとに実証実験を繰り返す。
ダイキンは、この実験を実験だけに終わらせるのではなく、2021年に実際に製品として販売することを目指している。
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仕事のパフォーマンスを高めるには...
ダイキン流の「働き方改革」で「疲れにくい空気」が実現すると、オフィスはどう変わるか。仕事の効率が上がり残業が減れば、その時間を家族との団らんや自分のプライベートな時間に充てられる。個々人の人生はきっと豊かなものになるだろう。
「空気で答えを出す会社」。これがダイキンのミッションだ。空間ごとにふさわしい空気を作り出し、満たすことで、社会の問題を解決する――。彼らは今後もそんな「答え」を探し続けていく。