昨今、「働き方改革」の機運が高まりをみせている。さまざまな企業で在宅勤務制度を新設し、副業を解禁するなど、新たな取り組みが始まっている。2017年は「働き方改革元年」とされ、18年もこの流れはますます強まりそうだ。
そんな中、ダイキン工業(大阪市、ダイキン)が空調機器メーカーならではの「働き方改革」に挑戦していることをご存じだろうか。オフィスの空気を改善し、働き手の快適性を上げれば、生産性も高まるはず――。自社の強みである「空気」を活用し、そんな一見無謀ともいえる挑戦に乗り出している。
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ダイキンの「働き方改革」とは
それぞれの空間にふさわしい空気がある
「ダイキンは世界をふさわしい空気で満たしたい」――。ダイキンの公式サイトで「ダイキンが考える理想の空気」と題するページにアクセスすると、表示されるのはこんなメッセージだ。
地球上にはさまざまな人種、民族が存在するが、「空気」とうまく付き合わなければ生きられない。これは皆に共通して言えることだ。たとえ日本でもアメリカでもアフリカの国でも、そこは必ず空気で満ちている。そして世界は、無数の空間によって成り立っている。寝室には寝室、リビングにはリビング、オフィスにはオフィス...。ダイキンは「それぞれの空間にふさわしい空気がある」と考える。
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「世界をふさわしい空気で満たしたい」
この思想は同社製品の根底にも流れている。例えば「無給水加湿」機能搭載のルームエアコン「うるさら7」は、最適の湿度にコントロールする能力を備える。冬の乾燥したリビングにもふさわしい空気で部屋中を満たすことができるのだ。
さらにダイキンでは、2017年より、空気に関する生活課題に答える「空気で答えを出すプロジェクト」を開始。例えば、つい最近の1月22日、関東地方が大雪に見舞われた際に、公式サイトにある「大雪に関するエアコンの困りごとの解決法」をTVやインターネットを通じて数多く紹介した。
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「大雪に関するエアコンの困りごとの解決法」
これらはあくまでも「現在」の空気の課題にかかわる活動だ。だが、「未来」への挑戦にも余念がない。
ライフサイエンスで「疲れにくい空気」を作れるようになれば、オフィスワーカーにとって働きやすい職場となるのではないか――。同社はそんな想いで、オフィスに「ふさわしい空気」を作り出すための「働き方改革」に挑戦している。
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「疲れにくい空気」のオフィスとは
舞台となるのが、兵庫県神戸市の理化学研究所(理研)だ。同社と理研は16年10月に「理研‐ダイキン工業健康空間プログラム」を設置し、17年6月には「理研CLST‐ダイキン工業連携センター」を設立。温度や湿度などの室内環境の変化によって疲労度がどう変わるか、同11月に開設した実験施設で共同研究している。