「ほほえみ外交」を展開していたはずの北朝鮮が、平昌冬季五輪で南北合同チームが使った「統一旗」をめぐり「失望した」と、韓国側を非難するかのような記事を機関紙に掲載した。
今回の五輪では、政治的紛争を避けるために国際オリンピック委員会(IOC)が統一旗に島根県の竹島(韓国名・独島)を載せない方針を決定し、韓国政府もこれに従ったためだ。この決定の背後には「日本の反動層」がおり、韓国政府は「行動で独島を守る意志を示すべき」だと主張している。
肩書不明の「シム・チョルウォン」なる人物の署名
開会式では、南北合同チームが掲げた統一旗には竹島が入っていなかったが、北朝鮮応援団の統一旗は竹島入りだった。当初から北朝鮮側はIOCや韓国政府の方針に不満だったようだ。これが具体的に表れたのが、2月15日付けの朝鮮労働党機関紙・労働新聞に「独島は神聖な私たちの領土である」と対して掲載された記事だ。記事が掲載されたのは全6ページの労働新聞のうち6ページ目で、場所は左下。扱いとしては大きくない。肩書不明の「シム・チョルウォン」なる人物の署名が入っている。
この記事では、開会式で「アリラン」が流れる中、南北の選手団が統一旗を手に入場行進したことを
「感動的な姿に世界が熱烈な拍手喝采と歓声を送った」
としながら、統一旗に竹島が入っていなかったことを
「国内外の全同胞の物足りなさと失望感をかもし出したことは言うまでもない」
と非難した。
「独島の表記がなぜ『政治的事案』になるのか」
今回のIOCの方針は、五輪憲章で五輪施設や会場などでの政治的宣伝活動を禁じていることが理由だが、
「独島の表記がなぜ『政治的事案』になるのか」
と反発し、今回の方針を
「日本の反動層の独島強奪野望をあおって、独島問題を国際化、政治化する仕打ちだ」
と断じた。さらに、日本政府が18年1月に竹島や尖閣諸島関連の資料を展示する「領土・主権展示館」を東京・日比谷公園にオープンしたことにも触れながら、
「最近、日本反動層の独島強奪策動は極度に達している」
と主張。今回の「竹島なし」の背景には「日本の反動層」がいるとも主張し、韓国政府については
「言葉だけで独島が私たちの土地だと示すのではなく、外部勢力の干渉と圧力に堂々と対抗して行動で独島を守る意志を示すべきである」
とした。