NEC、今世紀4回目の人員削減 「トンネルからの出口」見えるか

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セキュリティに強い英ITサービス企業を買収

   これらの結果、2001年3月期に5.35兆円あった売上高は16年度に2.66兆円とほぼ半減。ピーク時5兆円を超えていた株式時価総額は直近8000億円台へ激減している。ライバルのNTTデータや富士通の半分以下だ。

   数次の経営計画も、未達続きで次々に『挫折』。直近でも2016年4月に発表した中期計画は1年後に撤回を余儀なくされ、新たにまとめられたのが今回の計画だ。

   具体的にNECが成長事業と期待するのがセキュリティ事業。顔認証などIT(情報技術)を駆使するが、大勢の中から人物を特定するといった技術に自信を持つ。国内はもとより、海外売上高をいかに伸ばすかがNEC再生のカギとも言われるが、1月にはセキュリティに強い英ITサービス企業を買収し、同社を軸に国際展開を進め、2020年度の同分野の海外売上高を2000億円と現在の4倍にする計画だ。

   ただ、他の既存の分野は競争が激しく、売り上げを伸ばし、収益を上げるのは容易でない。これはNEC自身が分かっているところで、新経営計画で2020年度の目標として掲げた売上高3兆円、営業利益1500億円(17年度見込みの2.5倍)は、お蔵入りした前回計画と同じで、収益改善の中身も、600億円を人件費削減などの構造改革でねん出し、事業成長は300億円を見込むだけと、何とも心もとない。

   株式市場では、計画発表から最初の取引になった1月31日、一時、前日比175円(5.5%)高の3345円を付け、2月1日には3380円まで上昇するなど、連日のように昨17年来高値を更新。「人員削減に踏み込んだことで構造改革が本気と受け止められた」(市場関係者)との声も聞かれた。ただ、その後は市場全体が急落したこともあって、直近は3100円を挟む水準になっており、市場の評価は定まっていないようだ。

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