NECが、また大規模リストラを打ち出した。2018年1月30日発表した18年度から3年間の中期経営計画の中に盛り込まれたもの。18年度中にも3000人の希望退職を募り、年間300億円の人件費を圧縮する。国内8万人のグループ社員の約4%に当たる人数で、生産を効率化するため国内9工場の統廃合を進め、一部閉鎖も検討する。通信インフラなど主力事業の不振から、21世紀なって4回目の人員削減になる。成長分野の育成が急務だが、トンネルからの出口が見えない状況が続く。
記者会見した新野隆・社長兼最高経営責任者(CEO)は「想像以上に既存事業の落ち込みが顕在化した」と述べた。実際、既存事業の中で、通信インフラなどの事業の落ち込みが特に大きい。携帯電話の国内基地局向けの需要が一服したほか、海外進出にも出遅れ、売上高の海外比率は4分の1程度にとどまるなど、苦戦を強いられている。
事業の切り離し、縮小も相次ぐ
このため、希望退職の主な対象は、総務などの管理部門と、低迷する通信機器などの部門になる。人員のほか、事務所スペースのリストラによる賃料の節約なども含め、売上高に占める販売費・一般管理費(研究開発費は除く)の割合を、直近の22%から「グローバルで生き残る」のに必要な20%以下に下げるのが目標だ。工場の統廃合については東北や関東などの主要9工場が候補だが、新野社長は「具体的にはまだ決めていない」と述べるにとどまった。
近年のNECはリストラに次ぐリストラと言える状況だった。2001年に4000人、02年に2000人の人員削減を実施したのに続いて12年には派遣社員5000人を含む「1万人リストラ」で、派遣以外では、本体2400人弱、子会社250人、タイ工場閉鎖で2700人の計約5300人を減らした。派遣を除く削減員数は3回で計1万1300人に達する。その後は、これ以上のリストラはしない方針だったが、業績の低迷に歯止めがかからず、今世紀4回目の削減に追い込まれた。
この間、事業の切り離し、縮小も相次いだ。国内首位だったパソコンは2011年にレノボ(中国)に持ち分の大半を売却した。携帯電話端末も、その昔、電電一家の代表格だった流れでNTTドコモに強く、04年まで国内首位だったが、結局、カシオや日立との合弁に移行したうえ、16年には解散し、撤退。インターネットのプロバイダー事業「ビッグローブ」は14年に売却し、今やKDDI傘下に収まってNECとは縁が切れている。
かつては世界一を誇った半導体も2010年、ルネサステクノロジ(現ルネサスエレクトロニクス)に統合し、17年に保有株の大半を売った。
さらに、今年度(2018年3月期)にも売却は続き、日産と合弁のリチウムイオン電池子会社を18年3月、中国系ファンドに譲渡する。