スノボ解説、「かっこいい」連呼はやむを得ず? 背景に「印象」重視の採点基準

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   連日、選手たちが熱戦を繰り広げる平昌冬季五輪。そんな中、解説に引っ張りだこのプロスノーボーダー・中井孝治さん(33)に注目が集まっている。

   「かっこいいですねー」「これは渋い」「オシャレです」――こんな漠然とした説明を連呼し、インターネット上では「なんか新鮮」「新感覚」と盛り上がっている。

   だが、なぜ抽象的な解説となってしまうのか。それは「採点基準」が影響しているようだ。

  • 五輪公式サイトより
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中井ファン増殖中

   スロープスタイル男子予選などの中継で解説をつとめた中井さん。その言葉選びは独特で、選手の技を批評する際、冒頭のような単語を頻繁に用いる。

   どうやら視聴者の心をつかんだようで、ツイッター上では、

「スロープスタイルの解説で『カッコいい』とか『オシャレ』って単語が連発されるのってなんか新鮮でいい」
「ハーフパイプは解説の方のお人柄がにじむような実況もよくて、楽しく応援できた」

と上々の反応。NHK公式ツイッター(@nhk_sports)も、ハーフパイプ男子決勝を放送した2018年2月14日、

「本日も解説は #中井孝治 さん。冷静で分かりやすい解説と新感覚のフレーズに中井ファンが増殖」

と伝えている。

   一方で、「分かりづらい」「解説に不向き」と否定的な声も上がっており、中井さんは12日にブログで「僕の微妙な解説で分かりにくくしてしまってすみませんでした」とお詫び。その上で、解説で連呼した「スタイル(スタイリッシュ)」「おしゃれ」「かっこいい」「渋い」の計4単語を説明し、理解を求めた。

   なお、「かっこいい」は、「そのままです、思った時に使っていました」とある。

感性重視のスノーボード競技

   14日放送の情報番組「スッキリ」(日本テレビ系)ではこの話題を念頭に、「スノボ解説者かっこいい連発、なぜ?」との特集をした。

   元プロスノーボーダーの青木亮さんが電話で取材に応じ、ハーフパイプを例にその理由を「(採点では)印象点がつくから」と回答。続けて

「審査のポイントは『総合的な印象』。全体を見て印象点というのがついてくるので、同じ滑りをした2人がいたとしたら、ジャッジの人がかっこいいと思ったほうが少し得点が高かったりはあります」

と補足した。スノーボードでは「感性」が重視されるため、技を解説する際、どうしても気持ちが乗った表現になってしまうようだ。

   ただ、この「総合的な印象」とは具体的に何を指すのか。全日本スキー連盟が公式サイトで公開している資料によると、平昌冬季五輪のスノーボード種目で「演技得点」を競うハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエアは以下のようだ。

・ハーフパイプ
演技中に行われる技の高さ、難易度、完成度の高さ、演技全体の技の多様性を含む全体的な印象で採点される

・スロープスタイル
全体の印象を、高さ、難易度、完成度、多様性、流れなどの観点から採点

・ビッグエア
採点の目安として Difficulty(難易度)、 Execution(完成度)、Amplitude(高さ)、Landing(着地)、のそれぞれの頭文字を取った「DEAL Scores」が取り入れられる。

   たとえば、平野歩夢選手が2018年2月14日に銀メダルを取ったハーフパイプでは、上記のような要素をジャッジが100点満点で付ける。

元競泳選手、審査方法に苦言

   以上を見ると、評価基準はかなりあいまいなようだ。

   スッキリに出演した元競泳日本代表の松田丈志さん(33)は「採点の仕方はこれから細かくなる必要が正直あると思う。ジャッジの主観でやってるから...」と注文を付けている。

   同じく演技得点を競うフィギュアスケートは、厳格さを図るため評価基準を「技術要素」「演技構成」「減点規定」の3つに分けている。「技術要素」は「基礎点」「GOE」(出来栄え点)から構成され、「演技構成」は音楽の解釈や振付・構成など5つの項目をもとに算出される。

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