米ゼロックスの買収を発表 富士フイルムHDの勝算

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懸念は事務機市場の縮小

   現在の世界の事務機市場は米HP(ヒューレット・パッカード)がシェア1位。キヤノン、リコーと続き、日米ゼロックスは4~5位グループを形成するに過ぎなかった。それが両社の経営統合によって売上高は2兆円を超え、一気にトップに浮上する。

   だが不安材料もある。最大の懸念は事務機市場の縮小だ。ペーパーレス化が進む先進国では「消耗品や保守サービスで稼ぐ従来のビジネスモデルに基づいて成長を持続させることは困難な状況」(富士フイルムHDの助野健児社長兼COO)にある。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、クラウドなどを活用し、オフィスの生産性向上へ向けた新たなサービスを生み出せるかにかかっている。

   古森氏は2000年に富士フイルムのトップに就任してからグループを統括してきた。写真フイルム需要の急減に対し、液晶部材や化粧品などに経営資源を集中させ、成長軌道に乗せた経営手腕は高く評価されている。78歳のカリスマ経営者は今回の買収を受け、「80歳くらいで譲ろうと思っていた」CEOを「あと3~4年だろう。もう少しやらないといけない」(日経2月2日付朝刊のインタビュー)と語っている。今後、さらに評価を高めるのか、それとも晩節を汚すのか。今後の動向に改めて注目が集まりそうだ。

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