平昌五輪のフィギュアスケート団体で、宮原知子選手のコンビネーションジャンプが「回転不足」と判定されたことが波紋を広げている。
ソチ五輪代表の町田樹氏は、他の選手と比べて「何も遜色はありません」と断言。「堂々と個人戦に臨んでほしい」と語った。
「今ちょっと物議を醸していますが」
2018年2月11日に行われたフィギュア団体の女子ショートプログラム(SP)。宮原選手は冒頭で得点源となる3ルッツ+3トウループのコンビネーションジャンプを跳び、その後大きなミスなく演技を終えた。両手をあげてガッツポーズを見せたが、得点はトップのエフゲーニャ・メドベージェワと12点以上開く68.95点、全体4位にとどまった。宮原選手の表情は硬直し、少し首を傾げたようにも見えた。
テレビ中継で解説した八木沼純子氏(1988年カルガリー五輪出場)は、「コンビネーションのセカンドジャンプが少し足りないかなという風に思うんですけど」と不安をよぎらせていたが、蓋を開ければセカンドだけでなく、ファーストジャンプともどもコンビネーションが「回転不足」だった。基礎点10.30点のところが7.20点に下がり、出来栄えによる加減点(GOE)は-1.20点と大きく下がった。
八木沼氏は12日付の日刊スポーツ(ウェブ版)でも、「セカンドは...? と感じたのですが、確実に回っていたように見えました。本人にもその感覚があったと思います。厳しいジャッジですね」と疑問を隠さなかった。
ソチ五輪シングル5位入賞で現プロフィギュアスケーターの町田樹氏も、12日にテレビ東京で放送された平昌五輪特番で宮原選手の演技に言及。アナウンサーが「SP4位、冒頭のですね」と話したところで町田氏が「今ちょっと物議を醸していますが」と割って入り、冷静な語り口で見解を示した。
「私は昨日の女子SPすべての選手のジャンプのスロー映像を慎重に比較検討した上で言いますが、宮原選手のジャンプ、何も遜色はありません」
その上で、「宮原選手は大きなけがを乗り越えてこの舞台に立っています。五輪の切符をつかんだ全日本選手権では、本当に滑る喜び、プログラムを演じる日本人女性としての強さが満ち溢れていました。この時の気持ちをもう一度思い起こして、堂々と個人戦に臨んでほしいと思います」と太鼓判を押している。