平昌五輪開幕に合わせて韓国を訪問していた北朝鮮の高官級代表団が2018年2月11日、北朝鮮に戻った。翌12日には訪韓の様子を朝鮮労働党の金正恩委員長に報告し、国営メディアはその様子を13日に写真つきで報じた。
正恩氏の妹で党第1副部長の与正(ヨジョン)氏は、正恩氏の「特命を受けて活動」したといい、正恩氏は報告を受けて「満足を表し」たという。与正氏が笑顔で正恩氏と腕を組む写真も配信され、きょうだいの親密さをアピールした。
「今回の活動期間に把握した南側の意中と米国側の動向など」を報告
代表団は2月9日から11日にかけて韓国を訪問。9日に五輪開会式に出席したのに続いて、10日には青瓦台(大統領府)で文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談し、訪朝を求める内容の正恩氏の親書を手渡した。
2月13日付の労働新聞によると、与正氏は
「文在寅大統領をはじめ南側高位人士との接触状況、今回の活動期間に把握した南側の意中と米国側の動向などを金正恩委員長に詳しく報告した」
という。「南側の意中」は、文氏への訪朝要請に対する韓国側の反応も含まれているとみられる。
今回の開会式関連行事では、北朝鮮と米国の直接の接触はなかった。米国のペンス大統領はレセプション行事に遅刻し、メインテーブルに用意された自分の席には座ることもなく5分で退出した。だが、ワシントンポスト紙は2月11日(米東部時間)、ペンス氏が帰国中の特別機で同紙とのインタビューに応じ、
「重要なのは、非核化に向けて意味があるステップだと(日米、日韓)同盟が信じるに足る事柄を彼らが実際に行うまで、圧力は止めないということだ」
「したがって、最大限の圧力は続くし強めていく。しかし、対話をしたいということであれば、対話するだろう」
などと話したと報じた。こういった米国の方向転換ともいえる動きも、与正氏は正恩氏に報告している可能性がある。