読売新聞は「政権べったり」を戒める記事
読売は10日朝刊経済面で「政権と協調 継続へ/『蜜月』懸念の声も」の見出しの記事で、官製春闘や子育て支援政策3000億円拠出などを取り上げ、「政権に協力すべきは協力し、言うべきことはきちんと言える経団連になれるのか。『中西経団連』に課せられる責任は重い」と、『政権べったり』を戒める記事を掲載している。
こうした社説・一般紙を通した論調を読むと、アベノミクスへの支持・不支持の論調の違いはあっても、経済団体、とりわけ経団連トップの在り方として、政治にも物申せるという緊張感が必要というのが、ほぼ全体の共通認識であることがわかる。
なお、個別の政策課題で、中西経団連で議論になりそうなテーマが原発だ。原発推進が社是の産経だけは主張(社説)で言及し、「中西氏も『エネルギー問題など国の基本政策には、日立会長だけでなく、経団連の立場で取り組むことが日本経済の再生に意味があると思った』と述べている。この言葉通り、原発の利活用による電力の安定供給などでも政府に積極的に注文をつけてほしい」と、期待を込めて書いている。
朝日は18、19日に上下2回で掲載した経済面企画「変わる日立」で原発も取り上げ、「日立にとって国内の原発新設は困難で、活路は政権が掲げる原発輸出だ」として、中西経団連で「政権と経済界がより密接になりそうだ」と指摘したうえで、「今は進んで政権と一緒になりたがる。大丈夫なのか」という日立元副社長の声を紹介し、牽制している。日本に残る数少ない原発メーカーという1企業の立場と、経済界全体の代表としての立場で、国のエネルギー政策、とりわけ原子力政策にどのようなスタンスを示すか。中西経団連は、ことあるごとに問われることになる。