平昌冬季五輪4日目の2018年2月12日、スノーボード女子スロープスタイルの決勝が行われた。しかし、強風の中での競技に選手たちは苦戦し、日本勢はメダル獲得へは至らなかった。
競技後、世界選手権優勝経験のある鬼塚雅選手(19)はブログで、現地の厳しい天候の中で実力を発揮できなかったことに悔しさをにじませた。
「風の向きが1分ごとに変わる天気でした」
平昌五輪のスノーボード女子スロープスタイルは、11日に予選が行われる予定だったが、強風により中止となり、12日の決勝戦で26人の全出場者が2回ずつ演技して順位を決める「一発勝負」方式へと変更された。
しかし、12日になっても強風は止まず、安定しない風に選手は大苦戦。日本勢は藤森由香選手(31)が9位、広野あさみ選手(27)が12位、岩渕麗楽選手(16)が13位、鬼塚選手が19位という結果に終わり、メダルには届かなかった。優勝したのは米国のジェイミー・アンダーソン選手(27)で、4年前のソチ五輪につづいて金メダルを獲得した。
競技終了後、鬼塚選手はブログを更新し、
「風の向きが1分ごとに変わる天気でした」
「追い風の時は調節できるからまだ良かったけど、向かい風の時はスピードが乗らなくてかなり危険な状態でした。私は向かい風の時にスタートで、着地まで3メートルくらい足りなかった」
と、現地の風の厳しさを説明し、
「たくさん練習してきたけど、その練習が全く意味のないような気がして辛かった」
との心情を明かした。五輪に「キラキラ」したイメージを持っていたものの、実際には参加者が実力を出せない環境での競技だったと残念がった。ただ一方で、
「少し嫌だなって思ったけど、だからこそいいのかもしれない!」
「自然が味方してくれる人もいるし、味方してくれない人もいる。誰が勝つかわからない状況は少し楽しいね!」
とも書いていた。
葛西「味わったことのない寒さ」、米ABC「氷点下23度くらい」
平昌の強風については、冬季五輪に8回の出場経験を持つノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明選手(45)もコメントしている。11日のブログで、
「NORIは下川町育ちなので-15℃くらいはへっちゃらなんですが、この-15℃に強風が付くと-30℃くらいに感じます。
下川町ではあんなに寒い時に強風が吹く事あまりないと思うんだよね。味わったことのない寒さでした」
と、風の厳しさについて触れていた。
海外メディアからも、平昌の寒さと強風についての指摘があった。米ABCニュースは2月11日(米東部時間)の記事の中で、
「実際の日中の気温は氷点下13度ほどで、そこまで悪くはない」
としつつも、強風が吹いていることで、「氷点下23度くらいに感じる」。さらに、気温が下がり始めるまでは人で溢れていた広場にはほとんど誰も居ない、と現地の寒さについて報じている。