冬の祭典、平昌五輪が2018年2月9日に開会式を迎え、17日間の熱戦がスタートした。
しかし、開幕セレモニーの最中に不審者が乱入する等、会場の警備については不安を抱えたままとなっている。
「もっと物騒な目的で入っていたらと思うと怖い」
開会式のセレモニーは、韓国の文化を前面に出した演出や、2010年のバンクーバー冬季五輪のフィギュアスケート女子金メダリスト、キム・ヨナ選手が登場したことなどが話題を呼び、大きな盛り上がりを見せた。
それに加えインターネット上では、途中で登場した「人面鳥」のインパクトに多くの人々が反応し、放送時にはYahoo!のリアルタイム検索でトップになるなど、冬の祭典の開始にふさわしい注目度の高さを示した。
その一方で、セレモニーの最中に不審者がステージに乱入する珍事も発生。2018年2月12日に放送された「とくダネ!」(フジテレビ系)では、アナウンサーが「笑えるんだけれども由々しき事態」であると、警備面での不安を指摘した。
「とくダネ!」によると、不審者はセレモニーに2度、試合会場に1度、警備をすり抜けて「乱入」し、最終的には書類送検されたという。
1度目の乱入は歌手のキム・ナムギさんが朝鮮半島の民謡の「アリラン」を歌っている最中に発生。赤い服を着込み、耳にはヘッドフォンという一見するとスタッフのようにも見える男性がキムさんの隣に立ち、スマートフォンで自撮りをするかのような行動をとった。
男性はスタッフに取り押さえられたものの、その直後のパフォーマンス中にも再度乱入し、ステージ上を移動、中央に立つなどの迷惑行為の末にスタッフにより2度目の確保となった。
更に翌10日、この男は韓国と北朝鮮の南北合同チームとスイスとの試合が行われた女子アイスホッケー会場にも登場し、業務妨害の疑いで書類送検されたという。
こうした行為に、スタジオからは
「スタッフさんももうちょっとしっかりしてほしい」
「起こらないでしょう、普通」
「目的がスマホで自撮りだったからよかったですけれど、もっと物騒な目的で入っていたらと思うと怖いですよね」
と、現地の警備状況を疑問視するコメントが相次いだ。
また、同日放送された「バイキング」(フジテレビ系)でも同様の話題が取り上げられ、MCの坂上忍さん(50)は
「とんでもない野郎」
「セキュリティーは一体どうなってるんだ」
と声を荒げながらコメントした。
五輪の警備不備が招いた過去の事件
五輪大会中の不審者乱入による事件は過去にも発生しており、中にはアスリートの命を奪った事件ケースもある。
2004年のアテネ五輪の男子マラソンでは、レース後半、トップを走っていたブラジルのバンデルレイ・デ・リマ選手に観客の男が突如飛びつき妨害した。デ・リマ選手はその後も競技を続けたものの、妨害の影響からは脱しきれず、最終的には3位と銅メダルにとどまった。
五輪における最大の事件は、1972年のミュンヘン五輪で起きたテロ事件だ。選手村に侵入したパレスチナのテロ組織により、イスラエルの選手団11人が殺害されている。 赤い服の乱入者は今のところ笑い話で済んではいるものの、開会式時点で複数回の侵入を許している警備状況は心配だ。