外部調査委員会の最終報告書へ関心移る
もちろん、今後の神鋼の経営にリスクがないわけではない。神鋼は2018年2月末をめどに弁護士ら第三者の外部調査委員会が全容解明の最終報告書をまとめることになっている。その中で新たな不正などが見つかる可能性は否定できない。さらに神鋼は米司法当局から検査データの不正で調査を受けており、その進展次第では制裁金などを課される可能性がある。カナダでは自動車ユーザーから損害賠償を求める訴訟を起こされるなど、海外で訴訟リスクを抱える。神鋼は「訴訟は数年かかるケースもあり、影響があるとすれば来期以降になる」(河原一明・常務執行役員)と説明している。楽観はまだ許されない。
神鋼が2月1日発表した18年3月期の業績予想は売上高が前期比11.4%増の1兆8900億円と3期ぶりの増収、最終利益も450億円と、3期ぶりに黒字を確保するという。品質データ改ざん問題の影響で、取引先への補償費用などで100億円の経常損益の悪化を見込んだが、これを含め、経常損益は前期の191億円の赤字から600億円の黒字になる見通しだ。補償費用は取引先企業が行った安全性の検査や一部部品の交換にかかる費用という。いずれも「決算に与える(不正の)影響は軽微だった」(河原常務)という。神鋼が今期、黒字見通しとなり、マスコミの関心は神鋼が2月末にも発表する外部調査委員会の最終報告書に移る。