30%超の視聴率を記録した番組も
過去には「オウム真理教~暴かれた"王国"の軌跡~」のように33.1%もの視聴率を記録したこともある。「荒川静香 金メダルへの道」なども20%を超えた。制作にカネ、ヒト、時間をかけているのが特徴とされ、中には1年前後取材するケースもあるという。実際に放送されるのは収集した膨大な情報の中の一部なので、取材班はたっぷり「ネタ」を抱えている。
実際、「Nスペ」で16年に放送された「ある文民隊員の死~カンボジアPKO 23年目の告白~」を担当し、それを元に単行本『告白――あるPKO隊員の死、23年目の真実』(講談社)を書いた取材班の旗手啓介さんは、講談社のサイト「現代ビジネス」で書籍化した事情を説明している。
「制作者としては、心残りがあった。テレビドキュメンタリーという分野では往々にして起こることだが、放送時間の制約上、取材で得た膨大な証言や事実を削除せざるをえなかったのだ。映像と文字との違いはあるが、49分のNHKスペシャル(ナレーション部分とインタビュー)を単純に字数にすると、実は1万字にも満たない。400字詰めの原稿用紙にして25枚分ほどである」
「今回、その何十倍もの分量を遺す貴重な機会をいただき、ノンフィクション『告白』としてまとめることができた。突然召集され、カンボジアに赴いた75名の隊員たち、そして番組では紹介できなかった事件の関係者、重傷を負ったオランダ海兵隊員や、事件現場に丸腰で救援に駆け付けたスウェーデン文民警察官らのその後の人生をできるだけ詳細に綴っておきたかった」