2月14日はバレンタインデーだ。お菓子業界にとっては一大商機、この日に向けメーカー各社は、さまざまなキャンペーンを打ち出している。
2018年は「ご褒美チョコ(セルフチョコ)」が猛プッシュ中だが、過去を振り返るとあだ花のように生まれては消えた「○○チョコ」の数々が――。果たして「ご褒美チョコ」は生き残れるか。
09年に大ブームを呼んだけど
2009年のバレンタイン、突如としてメディアを席巻したのが「逆チョコ」だ。その名の通り、通常の「女性から男性」とは逆に、「男性から女性」へチョコを贈る――08年、森永製菓がバレンタイン調査の中で取り上げたのを皮切りに、翌09年にはメーカーがパッケージロゴを「逆」に印刷した逆チョコ用製品を売り出すなど、一気にブームとなった。
このまま定着――といけばよかったのだが、すでに当時から「(ホワイトデーと)なんで両方やるの!」(とくダネ!での小倉智昭さんのコメント)といった声も強かった。日経テレコンのデータベースを見ると、新聞(全国紙・一般紙)での言及数は09年が219件と、「本命チョコ」の71件にトリプルスコアの大差をつけたのに対し、翌10年には78件、さらに11年には25件とめっきり激減、現在はまれに取り上げられる程度で、ほぼ忘れ去られた言葉となっている。ここ2、3年ほどは「チョコ男」として、ほぼ同じ概念が提唱されているが、こちらも話題度は今ひとつである。
もう一つ、最近で不発に終わったのが「シェアチョコ」だ。個包装のチョコをラッピングするなどして、友人などと気軽に「シェア」するというもので、2016年のバレンタインに向け、複数のメーカーがキャンペーンを仕掛けた。SNS時代ならではのネーミングだったが、こちらも一般化するにはいたっていない。
「義理チョコ」復権の兆しも?
一方、ここ10年での勝ち組は「友チョコ」だ。(主に同性の)友人同士でチョコを贈り合う「友チョコ」は2000年代半ばに急浮上、2010年には新聞での言及数も逆チョコを追い抜き、ここ最近も毎年100記事前後は取り上げられている。
ネットで検索されたキーワードの推移を追う「Googleトレンド」によれば、2017年2月の「友チョコ」の検索件数は「本命チョコ」の約1.6倍。バレンタイン関連の「○○チョコ」の中ではトップを誇る。完全に定着したと言っていい。
ちなみに、時代遅れのようにいわれる「義理チョコ」も検索件数を伸ばしており、17年はほぼ同数だった。18年はゴディバが「日本は、義理チョコをやめよう」という新聞広告を出して話題になったが、これは「復権」の兆しだろうか。
日本チョコレート・ココア協会の公式サイトによれば、「バレンタインデーにチョコ」という習慣が日本で広まったのは1950年代後半以降で、メリーチョコレートによる「バレンタインセール」がその元祖とされる。そもそもがメーカーの商戦がらみと思えば、生まれては消える「○○チョコ」も、その伝統を忠実に受け継いでいるといえる。
18年は、女性が自分自身に贈る「ご褒美チョコ」「セルフチョコ」が注目を集めている。「インスタ映え」人気も当て込んだ新商戦だが――。