「お前××エアプかよ」「私××エアプだから」――こんな言葉を、ツイッターなどで聞いたことがないだろうか。
ここ最近、ネット上でちょっとした流行語になっているのがこの「エアプ」だ。元はゲームファンの間で使われていた言葉だが、現在ではかなり広い場面で使われるようになった。
「あたしおかあさんだから」論争にも
「やっぱのぶみは育児エアプやわ」
「そもそものぶみがおかあさんエアプやん!」
「(自分が)お母さんエアプなんじゃないかってぐらい(歌詞に)まったく共感できない笑」
2018年2月、ネットを中心に議論を呼んだのが、絵本作家・のぶみさん作詞の歌「「あたしおかあさんだから」だ。母親の「自己犠牲」を美化しているのでは、などと批判を浴び、最終的に作詞者が謝罪にまで追い込まれた。
この論争の中で、ツイッターで一部の人が発していたのが上記のような「母親(お母さん)エアプ」「育児エアプ」といった言葉である。
エアプは、「エアプレイ」を略した表現だ。「エアギター」のように、特定のゲームを「プレイ」していないにも関わらず、ネット上で聞きかじった話などを元に、まるでプレイしているかのように発言することを指す。普通の日本語なら、「知ったかぶり」がニュアンスが近い。
キーワードのネット検索件数の推移を記録する「Googleトレンド」によれば、2014年下半期ごろから急速に注目度が上昇した言葉で、直近の1カ月でも、ツイッターでは1日1000回前後つぶやかれている(Yahoo!リアルタイム検索)。
本来は「ゲーム」の分野に限って使われていたが、上記のように最近では、現実での経験などに関しても、相手の「知ったか」を叩く用途で使われることが増えている。
謙遜の意味で「エアプ」使う人も
たとえば、この冬各地で相次ぐ大雪だ。ツイッターなどでは、「雪をなめた」言動をした人物やメディアなどに対し、次々とこんな批判が飛んだ。
「雪をなめてはいけない...雪国エアプはこれだから...」
「雪かきで車道に雪撒いてるやつなんなんだ?雪かきエアプか?」
「新潟の列車立ち往生したやつ、報道が雪国エアプ過ぎてくっそイラつくんだけど」
「雪国エアプ多スギィ!! スタッドレス履けよ」
地方に住んだことがなければ「田舎エアプ」、恋人がいなければ「恋愛エアプ」、ほかにも「社畜エアプ」「受験エアプ」「入院エアプ」「相撲エアプ」、果ては「人生エアプ」――例は枚挙にいとまがない。一方でエアプ呼ばわりする側も、「自分の方が知識がある」というアピールや、「当事者以外は黙っていろ」という排他的なニュアンスで使うことも少なくなく、この言葉が飛び交いだすと、議論は得てして不毛になる。
一方で、最近ではちょっと違う用法も見られる。「専門じゃなくてエアプだから間違ってたらごめんね」「半分エアプなんですが...」「エアプだったらごめんなさい」――このあたりになってくると、本当の「エアプ」ではなく、一種の謙遜表現だ。
2017年にはニュースサイト「ガジェット通信」による「ネット流行語大賞」の候補にもノミネートされた「エアプ」、この勢いが続けば、18年は本家にも?