「福岡では肉まんに酢醤油をかけます」「そして酢醤油を皮と具のどちらにかけるかで市民が対立しているのです」――。
外国人キャスターがこうした福岡県のローカルネタを英語で紹介する番組「WORLD FUKUOKA NEWS(ワールド フクオカ ニュース)」(テレビ西日本、以下TNC)が、ツイッターで「面白すぎる」「ふざけ過ぎでしょ」と注目を集めている。
まさに「フェイクリアリティ」番組
「WORLD FUKUOKA NEWS」は、福岡の情報を世界に発信している架空のテレビ局「NIPPON FUKUOKA NEWS」の看板番組だ。番組キャスターのサミュエル・トロイさん(ニュージーランド出身)と、キャサリン・クファリさん(米国出身)が、英語で福岡のローカルすぎる話題をニュース風に紹介する。
「福岡の『あるある』的なことをフェイクニュースにならないように面白おかしくやっている、フェイクリアリティ番組です」。同番組の制作担当者は2018年2月5日、J-CASTニュースの取材にそう話す。
2018年1月31日の放送では、福岡県で肉まんに酢醤油をかける独自の文化を「皮?それとも具?街を二分する福岡文化」と紹介した。肉まんの皮に酢醤油をかけるのか、具にかけるのか。本当にそんな対立を取材したわけではないが、多少の創作も交え「あるある」を伝える――まさに「フェイクリアリティ」だ。
あるネットユーザーが放送後、ツイッターに「頭の悪いローカル番組が始まった」と番組のスクリーンショットを投稿。そこには番組の字幕として、
「福岡のある文化が原因で街を大きく2分する対立が起きています」
「福岡では肉まんに酢醤油をかけます」
「そして酢醤油を皮と具のどちらにかけるかで市民が対立しているのです」
と書いてあった。ツイートには、
「肉まんってそのまま食うんじゃないんか」
「酢醤油かけるのローカルだったの...?!」
と驚きのリプライ(返信)が殺到し、
「皮にかけて弾いて服にこぼして大惨事になった経験から今は半分に割って具にかけてますね」
「肉まん裏返しにして紙剥がしてそこにかけるんだよぉ!」
と地元民の声も。「リツイート」は3万7000件、「いいね」は6万2000件を上回る(2月5日夜時点)。
中でも印象に残っている「ニュース」は?
「福岡のコンビニで肉まんを買うと、必ず酢醤油を手渡されます。番組でそのルーツを探ろうとしましたが、辿り切れなかった。じゃあ...と、皮につけるか具につけるかで対立が起きている、との設定にしました」
制作担当者は取材にそう話し、番組の流れを次のように説明する。
まず、福岡のローカルな話題(「皮?それとも具?」など)を紹介するVTRが流れる。その後、サミュエルさんとクファリさんが自身の母国に置き換えて、ローカル(?)トークを展開するという。
番組はこれまでに17年3月と7月、今回の3度放送。
番組は17年、日本民間放送連盟の2017年度「日本民間放送連盟賞」の「テレビエンターテインメント番組」部門で優秀賞(全国の民放で放送された番組の中から6番組を選出)を受賞したほか、17年3、7月の放送が、ニュージーランドの動画配信サイト『SAKURA TV』で配信された。
担当者は気を緩めることなく、こう話す。
「引き続き海外配信も視野に入れていきますが、まだ3回目を終えたばかり。色々とトライアルしつつ、今後も福岡県民の話題になる番組作りをしたい」