高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「仮想通貨」めぐる勘違い 土台のブロックチェーン技術はすばらしいが...

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「取引所」では誤解を招く

   それと、マスコミでは、コインチェックは「取引所」と報道されるが、これもミスリーディングである。法的には、単に「交換業者」である。「取引所」とは、東京証券取引所のように、各種の売買注文が来て、それを突合する場であり、取引所は売買当事者にはならない。売買注文を大量に集めるために、日本では東京証券取引所に事実上一本化している。

   しかし、コインチェックは売買注文の相手方はコインチェックである。「取引所」と称するところは、資金決済法の登録業者で16、未登録の「みなし業者」16である。こうした交換方法による取引所運営は、価格の公正性が劣るとされる一方、取引所となる交換業者のもうけは大きくなる。

   こうした意味で、仮想通貨の「取引所」を、証券のような「取引所」と同じようにいうのは誤解を招くので、道理上の名称である「交換業者」というべきだろう。

   2018年2月現在の今の実情をはっきりいえば、「仮想データ」は社会として支払い手段として受け入れているところは少なく、あくまで「同好の士」の間で通用するものだ。取引も「交換業者」との相対取引で行われるので、あくまで自己責任で行うべきだ。

   その上、匿名的に取引が行えると勘違いしてはいけない。ブロックチェーン技術があるので、取引記録を税務当局が入手するのも容易なので、税務当局に目をつけられたら、租税回避は難しいことも留意しておかなければいけない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「朝鮮半島終焉の舞台裏」(扶桑社新書)など。


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