やくみつる、年寄株は「何とかしないとヤバい」 公益財団法人なのに...価値は「億単位」とも

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   やくみつる氏が、大相撲の「年寄株」が事実上金銭で取引されている状況に危機感を訴えた。

   日本相撲協会で年寄(親方)になるには年寄株(年寄名跡、親方株)の取得が必要。全105の株を脈々と継承し続けているが、実質的に金銭で授受されている現状がある。取引額は億単位とも言われる。

  • やくみつる氏(2016年9月撮影)
    やくみつる氏(2016年9月撮影)
  • やくみつる氏(2016年9月撮影)

「億単位で売買されているって異常ですよ」

   時津風部屋力士暴行死事件で再発防止検討委員会外部委員を務めたやく氏が、2018年2月6日放送の「バイキング」(フジテレビ系)に出演。不祥事が続く大相撲界に対し、「限りなく現状維持でいいと思ってる私ですら、ここは何とかしないとヤバイんじゃないの、と思う」として提案したのは、「年寄株の取引禁止」だった。やく氏は「公益財団法人の中での地位が億単位で売買されているって異常ですよ」と指摘した。

   年寄(親方)を襲名するには、年寄株を持っている親方から譲り受けなければならない。親方として協会に残れば後進の指導にあたれることに加え、退職まで協会から給与も受け取れる。

   年寄株は全部で105しかなく、需要と供給の関係から超高額での取引が慣例的に行われているとされる。譲渡は当事者同士の合意によるが、引き換えに動く金銭は数億円とも言われる。

   取引相場がクローズアップされたのは03年。年寄株「立浪」をめぐり、6代立浪親方(元関脇・羽黒山)が7代立浪親方(元小結・旭豊)に対して譲渡代金の支払いを求めて提訴した。東京地裁は同年2月24日、事実上角界では年寄株の売買が行われていると慣例を追認し、2人に支払いの合意があったとして請求通りの支払いを7代に命じた。その金額は1億7500万円だった。ただ最終的には最高裁で逆転し、支払い命令は退けられた。

   やく氏は番組で、「去年亡くなった高潔な元佐田の山理事長(9代出羽海親方)がここに食い込もうとした。私物と化している年寄株は売買禁止にし、協会一括で預かる、ということに手を付けようとしたけど、叶わなかった」と振り返った。元佐田の山は92~98年に理事長をつとめていた。

「自分の所有している株は私有財産のようになっている」

   やく氏は、協会が公益財団法人化した14年当時のこともこう語っている。

「公益財団法人への移行で、(年寄株の取引禁止を)是非ものでやりなさいと言われていて、しぶしぶ承諾していたけど、ずるずると旧態のまま。自分の所有している年寄株は私有財産のようになって、取引は本来まかりならぬはずなんだけど、まかり通ってる」

   一方で、やく氏は「今、年寄株は何億も出して買った人がほとんど。それでいきなり金銭的価値がなくなったら、いわば年寄株という『仮想通貨』がゼロになったら暴れるでしょう」と、改善が進まない背景も述べた。

   協会は公益財団法人移行に際し、現金での取引は原則禁止を打ち出した。公開されている協会の定款には、

「何人も、年寄名跡の襲名及び年寄名跡を襲名する者の推薦に関して金銭等の授受をしてはならない」

という規定が明記され、違反者には「厳重な処分」を行うとある(第47条)。しかしやく氏は、「代わりに、年寄株を譲り渡した人の老後の面倒を見る資金などで1億円とかやり取りされる。別の体裁だけど事実上売買している。権利欲しさに億単位のお金を積まないといけない」と実状は変わらないという。

   それでも、「林(芳正)文部科学大臣は突っ込んでこないけど、いつ気難しい文科大臣に突っ込まれたら終わりだよ」と静かに忠告していた。

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