「自分の所有している株は私有財産のようになっている」
やく氏は、協会が公益財団法人化した14年当時のこともこう語っている。
「公益財団法人への移行で、(年寄株の取引禁止を)是非ものでやりなさいと言われていて、しぶしぶ承諾していたけど、ずるずると旧態のまま。自分の所有している年寄株は私有財産のようになって、取引は本来まかりならぬはずなんだけど、まかり通ってる」
一方で、やく氏は「今、年寄株は何億も出して買った人がほとんど。それでいきなり金銭的価値がなくなったら、いわば年寄株という『仮想通貨』がゼロになったら暴れるでしょう」と、改善が進まない背景も述べた。
協会は公益財団法人移行に際し、現金での取引は原則禁止を打ち出した。公開されている協会の定款には、
「何人も、年寄名跡の襲名及び年寄名跡を襲名する者の推薦に関して金銭等の授受をしてはならない」
という規定が明記され、違反者には「厳重な処分」を行うとある(第47条)。しかしやく氏は、「代わりに、年寄株を譲り渡した人の老後の面倒を見る資金などで1億円とかやり取りされる。別の体裁だけど事実上売買している。権利欲しさに億単位のお金を積まないといけない」と実状は変わらないという。
それでも、「林(芳正)文部科学大臣は突っ込んでこないけど、いつ気難しい文科大臣に突っ込まれたら終わりだよ」と静かに忠告していた。