親方101人が投票する日本相撲協会の理事選は貴乃花親方が得票「2票」で落選したが、2018年2月6日放送の「バイキング」(フジテレビ系)が相撲ファン101人に「あなたなら誰に投票したか」を聞いたアンケートでは貴乃花親方に「68票」集まり圧勝だった。
司会の坂上忍さんは「これが世論」と胸を張ったが、やくみつるさんはこのアンケートを「無意味」と一蹴。壮絶な議論が始まった――。
「私は『協会与党派』ですよ。バキバキの与党です」
07年の時津風部屋で起きた時太山暴行死事件後、協会の再発防止検討委員会で外部委員を務めたやくさん。番組アンケートに「担当されたADさんか、よくもまあこれだけ無意味なことに時間を費やされて。知らないまま、何となくの印象論でぶっこんだだけですから。善と悪で分けられるような単純なものじゃない」と真に受けなかった。同アンケートは貴乃花親方に68票、現理事長の八角親方は次点で12票だった。
やくさんは「土俵の上を良くしようという意味では八角さんも貴乃花さんも軸は同じ」と両親方の対立構図が語られるのを避けたいようだった。坂上さんは納得がいかず「凄いですね。理事選が終わると協会をバックアップ」と皮肉を言うと、やくさんは顔色を変えずに「私は『協会与党派』ですよ。バキバキの与党です」と返した。坂上さんは「今日は徹底的に野党になります」と宣言した。
やくさんは諭すように「ファンはついてくればいいの。良い土俵につとめるから。面白いようにできてるから」と話した。しかし坂上さんは「呆れるわ。何これ」と収まらない。「始まりは日馬富士の暴行傷害事件で、協会は責任を誰一人取らなかった」という主張に、やくさんは「理事長は自分の減俸とか、甚だ甘いと思うよ」と理解しつつ、「でもシステム自体の変更にはならない」と区別した。
坂上さんは譲らず「甘いと言ってるのに、理事選が終わったら黙ってついてくればいいなんて言い方あるのかよって聞いてるんですよ」と怒気を込めた。だが、やくさんも「改革案も試案も別に持ってないのに、イメージで分けてるから言ってるの」と冷静だった。
「(アンケートで)こういう数字が出てどう思うかという話で、ファンを蔑ろにするような物の言い方をされて俺はびっくりした」と坂上さんが溜め息をつくと、ここまで落ち着き払っていたやくさんの表情が変わった。「...蔑ろ?」。そして「ファンの方も、表面的に支持するのはいいけど、習熟してほしい」として注文した。
「こんな日馬富士の事件なんか起きなければね、集客は右肩上がりになってるし、お客さんを教育すべき時期に来てたんだよ。ところが、そう言っていられなくなった。今、お客さんの見方が非常に乱れてきている。掲示(横断幕)を出したり、手拍子したり、相撲では好ましくないことが平然と行われている。上からっぽく聞こえるけど、乱れてきてるんだよ、客席が」
「国技館の入り口には『肩幅より広い物は出さないこと』と書いてある」
18年の初場所は不祥事に見舞われながら7場所連続の全日満員御礼を記録し、懸賞総本数は歴代2位の1993本(1位は17年五月場所の2153本)。「右肩上がり」の盛況が続いた。
やくさんは「大相撲をどんな格好で見ても、テレビで見ても構わない」としつつ、会場の客について「たとえば国技館の入り口には『肩幅より広い物は出さないこと』と書いてある。ところが、みんなこうやってるんだよね(横断幕を頭上で広げるジェスチャー)。そういうことを含めて習熟度が浅いんだよ」と指摘していた。
生放送で異例の激論を交わしたやくさんと坂上さんに、ツイッター上では賛否両論。一方では、
「お客さんを教育しなくちゃいけない。って(笑)これ、普通の人なら、ハァ?何で?こんな非常識軍団にそんな事言われてまで行かなきゃいけないの?」
「一般市民の1番人気は貴乃花でしたね その結果を踏まえての討論を頭ごなしに否定した、やくみつる氏。それでは坂上さんも怒りますよ」
とやくさんに否定的な向きもあれば、
「街角アンケートって結局都内の一部の人間の意見でしょ?その意見を国民の意見とひとつにしないで欲しい」
「やくみつる、本当のこと言ってると思う。具体的な手がない」
といった声も出ている。