日本相撲協会は理事選を終えて理事長選を迎えるが、やくみつる氏は現職の八角理事長の体制が「10年続く」と断言した。
不祥事が続く大相撲界には、トップの理事長が責任を取って辞めるべきとの指摘もあるが、かつて力士暴行死事件後に再発防止検討委員会外部委員をつとめたやく氏は、協会の現在の顔ぶれから「長期政権」の理由を紐解いた。
昭和30年代生まれの同世代にライバル不在
やく氏は2018年2月6日放送の「バイキング」(フジテレビ系)に出演。3月に理事の中から選出される理事長について
「八角体制はこの先10年(5期)盤石。同期にライバルもいないので勝ち続けるだろう」
と断言した。
盤石と言える背景には、「昭和30年代生まれの代表的な親方が、いま協会の主軸を占めている」ことがあるという。八角親方は昭和38年(1963年)生まれの54歳で、15年12月から理事長をつとめている。協会の定年は65歳。
同年代の元横綱や大関の親方陣をみていくと、八角親方と同じ高砂一門には元大関・朝潮の高砂親方(昭和30年生)がいる。だが、弟子の元朝青龍が暴行事件を起こして10年に引退しており、この件で「味噌をつけた」と指摘した。
元横綱・旭富士の伊勢ヶ浜親方(昭和35年生)も、17年11月に発覚した元日馬富士暴行事件で理事を自ら辞任し失脚した。元横綱・千代の富士の先代九重親方(昭和30年生)は前回理事長選後の16年7月に死去している。
「貴乃花親方は現在45歳。すると...」
元横綱・大乃国の芝田山親方(昭和37年生)が今回新たに理事に当選したが、やく氏は「芝田山さんは今まで政治的な色気がなかった。理事になったけど、協会の中では変わり者と呼ばれる。世間的には常識人で。自分のことを協会では変わり者ですからと言ってのけるような人」として、理事長争いに加わってこないと見ていた。
こうしたライバル親方の情勢から、やく氏は「同年代の元横綱・大関では八角さんが人心掌握に長けていて、定年まであと10年ある。その間は順調にいくと思う。世代交代するまで」と述べている。
一方、あまりにも長期政権が過ぎないかという疑問もある。番組では東京相撲記者クラブ会友の大隅潔氏が「良いか悪いかは別にして、相撲界の親方はあまり変化を好まない、今が良ければいいというところがある」と指摘。前回の理事長選には貴乃花親方が立候補して八角親方に敗れたが、
「貴乃花親方は現在45歳。すると10年後は55歳になり、相当勉強されて、支持されてくるんじゃないかと思う」
と、「世代交代」の展望を述べていた。