メディアが広めた「旧中山道」誤読伝説 有賀さつきさん、本人も生前たびたび訂正するが...

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朝日新聞の報道が影響した?

   しかし、この「伝説」はどのように広まったのか。

   日経テレコンのデータベースで調べた限りでは、スポーツ紙なども含め放送直後、この一件が話題になった形跡はない。ところが誤読から2年後の1993年、朝日新聞の特集記事の冒頭で、

「若手アナウンサーの言葉の乱れを指摘する声が、しばしば聞かれる。フジテレビのバラエティー番組では、女性アナウンサーが、横書きされた『旧中山道』を『いちにちじゅうやまみち』と、読んだこともある」(93年9月3日付朝刊)

と突如取り上げられた。記事では名前はないが、「フジテレビのバラエティー番組」とあるから、有賀さんが念頭にあった可能性は高い。

   これを境に、新聞などでは「アナウンサーが『いちにちじゅうやまみち』と誤読した」という話がたびたび語られるようになる。わずか2週間後には日経流通新聞(9月16日付)、続いて北海道新聞(9月22日付)、そして年明け94年には再び朝日新聞(1月8日付)と、記者コラムなどで、いかにも当たり前のように紹介されている。

   取り上げられる文脈には2種類ある。一つは、元々の記事のように、当時の「女子アナブーム」をあてこするような流れだ。たとえば1998年9月13日付スポーツニッポンは、「(フジの)某OGのAは『旧中山道』を『1日中山道(いちにちじゅうやまみち)』と読んで大爆笑を誘ったし......」と、有賀さんとみられるイニシャル付きで記している。

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