ビールの低迷に歯止めがかからない。大手5社の2017年のビール類の国内総出荷量(18年1月16日発表)は、前年比2.6%減の4億407万ケース(1ケース=大瓶20本換算)と、1992年に集計を始めて以降の最低記録を13年連続で更新した。趨勢として続くビール離れに、値上がりも追い打ちをかけた形だ。ビール各社はいかに巻き返すのか。
出荷量の内訳は、ビールが2.9%減の2億459万ケース、ビールより安い発泡酒が4.0%減の5499万ケース、最も安価な第3のビールも1.5%減の1億4449万ケース。2年連続で、3分野すべてで前年実績を下回ったというから深刻だ。
ビール市場全体の縮小傾向が続く
「ビール離れ」が叫ばれて久しい。消費者の好みが多様化するなか、若者らを中心に価格が安く気軽に飲める缶チューハイなど他のアルコール飲料に流れ、ビール市場全体の縮小傾向が続いている。
2017年は、こうした傾向に加え、6月から改正酒税法が施行され、量販店などの安売り規制が強化された影響が指摘される。缶ビールの店頭価格を約1割引き上げた店もあり、こうした値上がりに、夏場の天候不順が加わり、消費に水を差した形だ。
全体の不振の中、メーカー別シェアをみると、明暗が分かれた。アサヒビールが前年比0.1ポイント上昇して39.1%と、8年連続で首位を維持。以下、キリンが0.6ポイント低下の31.8%、3位のサントリービールは0.3ポイント上昇の16.0%、4位のサッポロビールは0.1ポイント上昇の12.1%だった。
アサヒは、主力ビールの「スーパードライ」の販売数量が2.1%減の9794万ケースと、29年ぶりに1億ケースを割ったが、業界で話題になったのが第3のビール。シェアの差0.5%の中に3社がひしめく大激戦になり、アサヒが0.6ポイント増の30.0%と、1.4ポイント減の29.7%にとどまったキリンをかわして初の首位に浮上。3位のサントリーも1.2ポイント増の29.5%だった。