年6000万円を 5年間継続、という民間の大型助成金の最初の贈呈式が2018年 1月26日、東京で行われた。主催は中谷医工計測技術振興財団。臨床検査の機器や薬開発・販売するシスメックス社 (本社・神戸市) を創立した中谷太郎氏が1984年に創設した公益財団法人だ。
京都大にハブ拠点
同財団はこれまでも電子計測技術関係の研究助成や表彰、子どもの科学教育支援などを行ってきた。今回新たに、国や専門分野の枠を超えた研究や研究者育成を目的とした大型助成金を企画した。
応募で選ばれたのは京都大学客員教授でもある物性物理学者の田中求ハイデルベルク大学教授。田中教授は1998年からドイツに滞在、2005年から教授になり、中性子や放射光を用いて細胞や組織を計測・解析している。助成金でその国際ハブ拠点を京都大学高等研究院に設け、ハイデルベルク大学をはじめ欧州や日本の大学、産業界と連携し研究する。ハブ拠点は 8人程度の研究室となり、田中教授は年間 100日前後滞在するほか、テレビ会議で常時、研究者の指導にあたるという。
財団はできるだけこの大型助成金を続ける意向で来年、2 回目を公募する。科学研究を対象に新しく大型の助成ができたことで、多くの関係者に刺激になりそうだ。
(医療ジャーナリスト・田辺功)