ネットと現実の言葉に差がなくなった
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、
「『2典』が書籍化された2002年は、ブロードバンド接続の普及により、インターネットが一部のアーリーアダプターやオタクから、一般へと広がってきた時期です。当時は、新たにネットを始めた人に、ネット用語を教えないとコミュニケーションさえ取れなかった」
と、2典の存在意義を説明する。
しかし、ネットが当たり前となり、「デジタルネイティブ」という言葉さえ陳腐化した今では、そんな事情は大きく変わった。
「かつてはネットには独特の言い回しがあり、それが一般社会にも時間差で伝播する、という構図がありました。しかし今では、現実とネットの言葉にほとんど差がありませんね。ネットで流行った言葉があっても、即現実に波及しますし、逆もそうです。LINEなどから広まった『マジ卍』も、ほとんど同時に街中で使われるようになりました」
2ちゃんねる用語はまさに、「ネット」と「現実」の距離があった時代ならではの産物だったというわけである。