フォーミュラ・ワン(F-1)が、2018年のシーズンからグリッドガールを廃止することを、2018年1月31日、公式サイトで発表した。
F-1側は廃止の経緯について、グリッドガールが「ブランドバリューにそぐわず、現代社会の規範と調和しない」と説明しており、その背景には「女性差別」批判があった。一方で、こうした批判に対する反発もあり、廃止の是非について議論が巻き起こっている。
廃止理由を「現代社会の規範に合っていない」と説明
グリッドガールはレースクイーンとは異なり、レースが始まる前に参加車の前に立ち、それぞれのナンバーやドライバーの名前を掲げる女性のことで、F-1では長く伝統として親しまれてきた。
しかし、そうした伝統に対して「差別的」と見る向きが近年生まれており、スポーツでの女性の地位向上を訴える英団体「Women Sport Trust」は、17年12月に
「今後、より多くのマーケッターやスポンサーが、21世紀においてはグリッドガールの存在は受け入れられるものではなく、多くの男性と女性にとって不快なものであると気付くだろう。こうした時代遅れの習慣を続けることで、ボクシングや自転車、モーターレースなどは新たなファンを得る機会を逃すだろう」
と、モータースポーツのグリッドガール以外にも、ボクシングのラウンドガールなども含めて批判する声明を出している。
そうした社会的な流れを受け、F-1は1月31日の発表で、グリッドガールの廃止を発表し、その理由を
「グリッドガールは、何十年にもわたってF-1の不可欠な要素であったが、この習慣はブランドバリューにそぐわず、また明らかに現代社会の規範に合っていない」
と説明し、3月25日からオーストラリアで始まるF-1グランプリから廃止されるとした。
「賛成かな」「これは私たちが選んだ仕事だ」
こうした報道を受け、ツイッターでは多くの人が反応し、廃止の是非について議論が起こっている。
「グリッドで立っているだけだし、個人的には無くてもいいと思ってるので、賛成かな」
「F1レースを盛り上げる方法はグリッドガールである必要はないと思う」
と賛成派の声があがる一方で、
「これで職を失う人もいるだろう」
「顔もスタイルもステキなグリッドガールたちが各国の文化を表現することの何が蔑視なのかさっぱり」
「仕事として好きでやってんのに外野が『女性蔑視だ!』って騒ぐのはおかしいよな」
など、批判的な意見も目立つ。
また、当事者側もツイッターで意見を発信しており、グリッドガールとして活動しているという女性たちは
「フェミニストたちのせいで、私たちは職を失った。私は8年間グリッドガールをしているけど、不快に思ったことは一度もない。私はこの仕事を愛しているし、そうじゃなければやっていない。誰も強制していないし、これは私たちが選んだ仕事だ」
「必死に働き、好きなことを仕事にしている私たちにとって、とても悲しく、腹立たしい週だ」
「『女性の権利のために戦っている』と言っている人たちが、女性に対して何をすべきで、何をすべきでないかを言うのは間違っている。PC(ポリティカルコレクトネス=政治的な正しさ)はくるってしまった」(いずれも原文は英語。編集部訳)
と、F-1側の決定について批判している。