「森友・加計問題」をめぐって珍しく朝日新聞と産経新聞の歩調が一致しているのが、佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官に対する姿勢だ。
産経は「もりかけ」を追及する朝日新聞の姿勢を批判する一方で、佐川氏が就任会見も開かずに説明を拒んでいることを疑問視。2018年1月31日付の社説にあたる「主張」の欄では、「説明責任から逃げ出すな」との見出しまで掲げて、国会や記者会見の場で説明を求めた。
「産経抄」では朝日購読やめた市長のエピソードを紹介
産経新聞は17年12月2日付の1面コラム「産経抄」で、森友・加計学園問題に対する報道姿勢を理由に、長崎県平戸市の黒田成彦市長が市長室で朝日新聞の購読をやめたというエピソードを紹介。黒田市長のツイッターには賛同のメッセージが届き、フォロワー(読者数)も増えたとして、
「新聞やテレビなどマスコミに対する国民の視線が、年々冷ややかになっていくのをひしひしと感じる」
などとつづった。朝日新聞の「森友・加計」をめぐる姿勢が国民の視点から離れている、と言いたいようだ。
その産経新聞も、森友問題をめぐり財務省理財局長時代に「記録は廃棄した」と言い続けた佐川氏には厳しい論調だ。「主張」の欄だけでも、17年8月11日には「会見拒否を放置するのか」と題して、
「時を経ても、『森友問題』から逃げることはできない。自らの口で、堂々と説明できない事柄を抱えたままでは、長官として不適格であるといわざるを得ない」
などと長官としての資質を疑問視。「破棄した」はずのデータの存在が明るみに出た直後の12月3日には
「売却価格をめぐる対応の不備を認め、その経緯と責任の所在を明確にすることだ。以前の答弁は事実に即していないと修正するしかあるまい。官僚としての矜持(きょうじ)さえ保てなくなる」
と訴えた。