2018年放送予定の新アニメ「ISLAND」の製作委員会が2018年1月29日、主要キャストを務める予定だった声優・村川梨衣さん(27)の降板を発表した。理由については、村川さんの所属事務所が脚本の変更を製作側に要望したためだとしている。
しかし、代わりのキャストを村川さんと同じ事務所の女性声優が担当すると伝えられたことなどから、発表の内容に違和感を覚えるファンが続出。インターネット上では、さまざまな憶測が飛び交う騒ぎとなっている。
原作ゲームの声優を担当していたが...
アニメ「ISLAND」は、16年4月発売の全年齢向けWindows用ノベルゲームが原作。離島に流れ着いた記憶のない青年を主人公に、島に住む3人の少女と共に世界の謎を解き明かしていくSFストーリーだ。
村川さんはヒロインの1人「伽藍堂紗羅」役で原作ゲームに出演しており、今回のアニメ版でも同じキャストを担当する予定だった。実際、17年12月15日にアニメ化が正式発表された際に村川さんは、
「ゲームを遊んでくださった方々はもちろん、アニメからご覧いただく方にも楽しんでいただけるように、スタッフ皆様が大事に大事になさっているこの作品を、チーム一丸となって盛り上げたいと思います」
といった前向きなコメントを公式サイト上に寄せていた(30日朝までに削除済み)。
だが、そのわずか約1か月半後に、アニメの製作委員会は村川さんの降板を発表。キャスト変更の経緯については、村川さんが所属する「東京俳優生活協同組合」(俳協)側から、脚本の変更などの要望があったためだとして、詳細を以下のように説明した。
まず、事務所から脚本変更の要望が出たのは、アニメの収録がスタートした後の12月下旬のこと。当初、製作側はセリフの変更などで対応していたが、収録が進むにつれ対応が難しくなった。
具体的には、事務所の要望に応えるためには、すでに作画作業が終わったシーンを変更する必要もあったという。そのため製作側は「具体的な対応については一部、相談させてほしい」と事務所側に伝えたが、その返答は、
「希望する全ての変更が受け入れられない場合は(略)続投は難しく降板させるほかないため、再度変更を検討してほしい」
というものだった。
事務所側は「平身低頭」の謝罪文
製作側は様々な可能性を探ったというが、結果として事務所の要望に全て応じることは断念。その旨を事務所側に伝えると、村川さん降板の申し出があったという。こうしたキャスト変更の経緯について製作側は、
「俳協様の降板に対する意思は固く、また俳協様から降板に伴う交代キャストのご提案があった事もあり、申し出を受け入れ、誠に残念ではありますがキャストの交代をさせて頂くことになりました」
と振り返っている。ただ、製作委員会の発表文の中には、ファンや関係者に対する謝罪の言葉は一切ない。
一方、村川さんの所属する俳協が1月29日に公式サイトに掲載した発表からは、まさに平身低頭の様子が窺える。理事長の名前で掲載されたコメントでは、「製作委員会様が発表された内容に相違はございません」とした上で、
「TVアニメを楽しみにお待ち頂いておりました皆様、そして関係者の皆様へ多大なご迷惑をお掛け致しますことを伏してお詫び申し上げる次第でございます。誠に申し訳ございません」
と謝罪。続けて「この度の不始末を深く心に刻み、信頼回復に尚一層の精進を重ねて参る所存にございますので、何卒ご容赦の程お願い申し上げます」とも書き、さらに発表文の末尾でも、
「この度の件につきまして皆様にご迷惑をお掛け致しましたことを重ねてお詫び申し上げますとともに、ご理解を賜りますよう伏してお願い申し上げます」
と再び謝罪している。
「この件について取材をお受けすることはできません」
両者が発表したコメントの「温度差」や、同じ俳協に所属する山村響(ひびく)さん(29)が代役を務める点などから、ネット上では今回の降板劇をめぐって様々な憶測が飛び交うことになった。
ツイッターやネット掲示板では、「今度のりえしょん(編注・村川さんの愛称)の活動に影響が出ないといいが」「イメージダウンにならなきゃいいなぁ」といった心配の声が上がる一方で、
「事務所側が演出にNG出したのに、代役も同じ事務所ってのは引っ掛かる。表に出せない事情もありそうだけど詮索はしないほうがいいのかな」
「代役が同じ声優事務所ってことは事務所NGで降板ってわけではないよね。なら村川本人の問題かね」
「俳協が自分で不始末って言ってて、これ当事者がめっちゃ難あったパターンじゃん...みたいな気持ちに」
「事務所も突き放したかのようなコメントだよな(略)村川へのフォローは一切ない」
などと事態の真相について憶測する書き込みが相次いでいる。
なおJ-CASTニュースでは1月30日、より詳しい事情を聞くため製作委員会側に取材を試みたが、同日中に連絡はつかなかった。また、俳協の担当者は取材に対し「発表したコメントにも記載していますが、この件について取材はお受けすることはできません」と話すのみだった。