中国の大手複合企業との協業の成果を出すことが至上命題
岡藤氏自身が今後もCEOとして権力を握り続けるにあたり、「自分の寝首をかかない人物を選んだということだろう。今後の実権掌握に意欲を示したということではないか」(伊藤忠幹部)との臆測も漏れ聞こえる。実際、鈴木氏は社長就任にあたり、「丹羽色を消し、岡藤社長に忠誠を誓ったのでは」(商社幹部)との見方も出ている。
伊藤忠は今後、成長の切り札として提携先の中国の大手複合企業「中国中信集団(CITIC)」との協業の成果を出すことが至上命題だが、その責任者として引き続き指揮をとるのは岡藤社長だ。伊藤忠の慣例では、社長任期はおおむね6年だが、2年前の2016年に就任6年を迎えた岡藤氏は結果的に続投している。岡藤社長はCEOをいつまで続けるのかは言明していないものの、「短くとも2年。本人はさらに長く経営の実権を握るつもりだろう」(伊藤忠幹部)と見られている。その中で、鈴木氏がどれだけ独自色を出すことができるか、注目される。