大阪府が東京圏からの就職者受け入れのために作った就職ガイドの表紙が、ネット上で賛否両論になっている。
アスファルトの道路や歩道にリクルートスーツ姿の男女3人が上から突っ込み、肩ぐらいから上が地面にめり込んでいる。
「ボケている大阪の、まったくボケていない仕事」
ツイッター上では2018年1月26日、こんな「大阪企業ガイドブック」の表紙写真が投稿され、波紋を広げている。
「ボケない大阪へ、ツッコメ」。サブタイトルには、こうあった。
このガイドブックは、大阪府が大阪市内のNPO法人の協力を得て進める「ボケない大阪UIJターンプロジェクト」の紹介で出しているものだ。
プロジェクトの公式サイトでも、表紙と同じデザインをトップページに使っている。それによると、「東京圏の方に向けて、いつもはボケている大阪の、まったくボケていない仕事・暮らしの魅力的な情報を届け、大阪へのUIJターン就職を促進する」とある。Jターンとは、出身地以外に就職し、さらに別の地域へ転職するという意味だ。表紙の3人は、手足で「U」「I」「J」のポーズを取っていた。
サブタイトルは、上方漫才のボケとツッコミをもじったらしい。公式サイトでは、「大阪が誇る、つっこみどころのないほどのいい仕事といい暮らしへ。さぁ、今年もツッコメ!」と就活生に呼びかけている。東京から大阪へ「都市部から都市部へ」の就職を促すため、大阪の仕事と街をリアルに体験できる「おためし移住プログラム」やイベントなどを行うとしている。
「おもろいやん」「不吉に感じる」と意見分かれる
実は、今回の表紙デザインは、2016年度からすでに大阪府のプロジェクトで使われている。
産経新聞の16年12月24日付大阪版朝刊の記事によると、府では、デザインのビジュアルに賛否両論があることは認めたものの、大阪から年間約1万人が東京圏へ流出しており、現状の危機感を訴えるにはインパクトがないといけないとしたという。
大阪府プロジェクトの公式ツイッターでは、17年度も同じデザインを採用することを同年秋に公言しており、実際に公式サイトやガイドブックの表紙に使われることになった。
ツイッター上などでは、このデザインに賛否が分かれている。
賛同を示す声としては、「おもろいやん。生え抜きの社員になれって事やろ!」「大阪ぽい構図ってかんじ」「就活生の現実を的確に捉えている」といった書き込みがあった。
一方、疑問や批判も依然多く、「こわい!ツッコメというコピーだけど、なんで地面につっこまないといけんの」「就活生にこれを見せたとして、不安を感じてる人ほど不吉に感じる」「これ見て若者が大阪に就活行きたい!ってなりますかね?」などと指摘されていた。