仮想通貨取引所大手の「コインチェック」から580億円相当が流出したことが発覚すると、インターネット上で利用者の怒号が響いた。
特にコインチェックのツイッターは荒れている。各種対応を伝える複数の投稿には多いもので500件超のリプライがついており、「地獄まで追いかけます」から「皆で応援しよ!」まで悲喜交々。同社のCMに出演していたお笑い芸人・出川哲朗さんにまで波及し、錯乱状態となっている。
セキュリティの甘さも明るみに
流出が明らかになった2018年1月26日深夜、コインチェックは会見を開いた。和田晃一良社長が謝罪のうえ、主に大塚雄介取締役が一連の問題を説明した。
同社は26日11時25分、仮想通貨の一種「NEM(ネム)」の残高が異常に減少していることを検知した。間もなくNEMの入出金を一時停止し、追ってNEMの売買も停止。夕方には、日本円と全仮想通貨の出金を停止し、さらにNEMだけでなく全オルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)の売買も停止した。
外部からの不正アクセスは同日3時ごろに受けていた。流出したのは5億2300万NEM。流出時のレートで約580億円に相当する。
セキュリティの甘さも明るみに出た。流出したNEMは、オンラインの仮想通貨口座「ホットウォレット」で管理されていたといい、オフラインの「コールドウォレット」と違って、不正アクセスの大きなリスク下にあった。また、盗難対策に有用な「マルチシグ」(複数の電子署名を得なければ送金処理ができなくする仕組み)が採用されていなかった。
日本最大級の仮想通貨取引所で起きた不祥事。利用者も多く抱えており、コインチェックのツイッターには怒号が鳴り響いている。普段はビットコイン相場を1日数回と、ニュースリリースがあれば投稿される程度の運用で、リプライ数はゼロに近い。だが26日からは、流出問題と一部サービス停止についてツイッターで逐次報告しており、多いもので1つの投稿に500件超、合計すると1000件超のリプライが殺到している。
「じゃあ教えてよ、なんでコインチェックはセキュリティがガバガバなんだよ?」
「責任追及を考えます。地獄まで追いかけます。ずさんな管理をして許されると思わないで下さい」
「対応見守らせて頂きます。地獄に墜ちる時は一緒に墜ちましょう。這い上がる時は供に這い上がりましょう。そのぐらいの覚悟で対策講じてくださいね」
「人の財産を預かっているという自覚が足んない」
「せめてネム以外の資産は出金させてください」
「とりあえず金返せ」
こうした憤懣の声のほか、「ここは煽るよりかは、、、、、皆で応援しよ!!!!命賭けて皆の資産守ってくれ!!!」「スタッフさん大変やと思いますが頑張って下さい」「これで立ち直ると仮想通貨の信頼度あがるぞ」といった応援の声も数多い。
筑波大学准教授・学長補佐の落合陽一氏もツイッターに27日、「『ハッキング被害』を受けた側を袋叩きにするには筋が違う.もちろんセキュリティリスクを孕んでるのだから事業者の対応は重要だけど.とにかくこの件は『悲しいけど,これが仮想通貨なのよね』という感じです」と投稿している。
一方、ここ最近大量に打っていたテレビCMに起用されているお笑い芸人・出川哲朗さんにも波及した。「出川の顔に泥塗るなよ」と案ずる声のほか、持ちネタや、CMの会話をもじって、
「出川は『ヤバイよヤバイよ!』の暗喩だったのか」
「なるほど!今日の為に出川さんをCM起用してたんですね!ヤバイフラグって奴ですね!」
「やっぱ知らないんだー 和田晃一良さんが知らないはずないだろ? じゃあ教えてよ、なんでコインチェックはセキュリティがガバガバなんだよ? やっぱ知らないんだよ!! 大塚雄介さんが知らないはずないだろ? なんでマルチシングを使わないでネットに接続してたんだよ!!」
といった投稿が続々となされ、ツイッターは混乱状態に陥っている。