依田紀基さんは「どん底」
こうした「神童」たちは長じてどうなるのだろうか。かつて囲碁の世界で神童と言われ、名人にもなった依田紀基さん(51)の近著『どん底名人』が参考になるかもしれない。
中学3年でプロデビュー。いきなり11連勝し、稀にみる有望新人として脚光を浴びた。17歳5か月で新人王戦に優勝。名人4期、碁聖6期、NHK杯優勝5回など90年代後半から2000年代初頭にかけて圧倒的な強さで囲碁界に君臨した
だが、現在は棋士として低迷している。それだけではない。私生活も含めた人生全般において「どん底」だというのだ。「私はこの本を遺書のつもりで執筆した」と言うから穏やかではない。本書では、なぜそんなことになったのか、縷々記している。「神童」といえども、大人になってからの人生は平たんではないという一例だろう。
ネットでは現在の低迷を残念がり、「もう一花咲かせてよ。井山裕太を吹っ飛ばしておくれよ」(アマゾンのレビュー)など、再起を期待するエールが少なくない。