熊本電気鉄道の求人情報に書かれた「資格」の内容がインターネット上でにわかに注目されている。
「簡単なパソコン操作」ができることを求人条件の1つにあげているが、カッコ書きでわざわざ「右クリックの意味がわかれば大丈夫」と表記されていたのだ。ツイッターでは「それパソコン操作言わん(笑)」などとツッコミが入っているが、一体何を意図したのか、熊本電鉄に聞いた。
「簡単なパソコン操作ができる方」
あるツイッターユーザーが2018年1月24日にアップしたのは、臨時職員の募集について熊本電鉄が掲示した貼り紙。藤崎宮前駅と堀川駅で、「改札業務並びにIC乗車券を含む乗車類の販売、駅清掃等」を行う仕事で、6時30分~19時の時間帯を1日平均5時間程度、交替制で勤務する。時給は810円。
そして、求人にはこんな条件が書かれている。
「簡単なパソコン操作ができる方(右クリックの意味が分かれば大丈夫です)」
右クリックの意味が分かれば大丈夫――確かに簡単そうだが、あまりにも簡単すぎるのではないか、ということでリプライには、
「右クリックの意味 って書いている時点で、ついていけませんw」
「パソコン操作というよりマウス操作」
「それパソコン操作言わん(笑)」
といったツッコミが相次いでいた。同様の求人情報は、熊本電鉄のウェブサイト上でも閲覧できる。
なぜカッコ書きにしてまで求人にこのような表記をしたのか。熊本電気鉄道の鉄道事業部の担当者は26日、J-CASTニュースの取材に「自己評価と外部評価で認識の齟齬が出てしまう可能性があるからです」として、次のように話す。
「たとえば、パソコン操作が『ちょっとできます』と言っても、実際に操作してもらったらスペシャリストのような人もいれば、キーボードを人差し指だけで打つ人もいると思います。それは個々で『できる』の基準が異なるからです。しかし、『右クリックがわかります』というのは客観的に同じ基準をクリアしていると言えます」
「酒は人並みには飲めます」
ちょうど「酒は人並みには飲めます」と言われても、人によって程度が違うのと似ているとのことだ。基本操作が分かっているのを確認するため、「右クリック」が何を指すか分かればよいという基準をあげている。右クリックは例示にすぎず、左クリックでもダブルクリックでも、レベルを確認するための程度としては同じという。
業務ではICカード定期券の販売などでPCを操作する場面もあるが、採用後に一定期間をとって業務内容を学んでもらう。ここで教える際、例えば「右クリックから○○を選んで」と説明しても「右クリック...?」というレベルでは、業務以前にPC操作そのものから身につけなければならず、「そこまでは教えられない」という。逆に右クリックが分かる程度の知識さえあれば、あとは教えて身につけられるとのことだ。
過去にマウスのクリック操作が分からなくてトラブルになった経験があったのだろうか。担当者によれば、ICカード改札などのシステムを導入したころ、「今後採用する人はパソコンの基本操作ができることを条件に」という話で自然とまとまったため、そもそも「基本操作が分からない方を採用した経験はありません」という。
募集をかけたのは「7か月前くらい」から。すでに2人を採用しているが、定年などで退職者が出ていることから、「あと1名を採用したいと考えています」と話していた。