転機となった「裏切り」 野中広務さんの「政治と差別」

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「最後の発言」で怒り爆発

   だが、政治家人生の最後に「怒り」がストレートに爆発した。

   2003年9月21日、引退直前の自民党総務会。野中さんは「私の最後の発言」と断って話し始めた。

「総理大臣に予定されておる麻生総務会長。あなたは(グループの)大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ』とおっしゃった。そのことを私は、大勇会の3人のメンバーに確認しました・・・私は絶対に許さん!」

   激しい言葉に総務会の空気は凍りついたという。(『差別と権力』より)

   「部落出身者であってもまじめに真剣に働け。それでもなお差別されたら、その時は立ち上がれ」――野中さんは『差別と日本人』で「私はこんな信念を持っている」と書いていた。

「この国の歴史で被差別部落出身の事実を隠さずに政治活動を行い、権力の中枢までたどり着いた人間は野中しかいない」(魚住昭『差別と権力』)
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