「保線担当者個人ごとの業務遂行能力の問題というよりは」...
事故当時の保線担当者数は紀州が3人、熊本が4人。路線の長さがそれぞれ2.7キロ、13キロと短いことから、報告書では「決して少なすぎることはない」と評価している。その上で、背景にある「地方鉄道に共通する課題」を指摘した。
「規定に従った一定の線路の保守ができていたことから、保線担当者個人ごとの業務遂行能力の問題というよりは、同社に類する地方鉄道に共通する課題として、鉄道事業が小規模であるために、組織としての技術力を維持、向上が困難であることが考えられ、同社においては、そのような状況が継続していた可能性ある(原文ママ)と考えられる」
上記は熊本電鉄の報告書の記述だが、紀州鉄道の報告書にもほとんど同じ記述がある。再発防止には社員教育や適任者の増員が有効だとしながら、枕木を木製のものから耐久性が高くメンテナンスがしやすいコンクリート製のものに交換することが「即効性、確実性」があるとしている。