日本高野連は今年開催される「第100回全国高等学校野球選手権記念大会」の運営委員会を大阪市内で開催し、夏の甲子園大会でこれまで無料だった外野席を有料化すると2018年1月24日に発表した。
有料化の理由は混雑によるトラブルや転倒を防ぐため、としているが、収益は「高校野球200年構想」の事業費用に充てる、としたため「実際の目的は何なんだ?」「高校生の部活見るのにカネ取るの?」などとネット上で混乱が起きた。
「長い長い伝統が壊れた」「教育はどこに行った?」
阪神甲子園球場の外野席は最大で約2万人を収容できる。高校の甲子園大会は15年以降に来場者が急増し、17年夏の大会第4日は、開門時に1万2600人もの来場者があり、混雑によるトラブルを回避する声が高まっていたのだという。料金は500円程度になる。
ネット上では「今まで無料だったの?」という声が出て、地方大会でも入場料を取っているところがあるため、甲子園だったら徴収は当然だ、といった声も多かったが、甲子園大会の外野席が無料というのはこれまで高校野球を振興してきた高野連の伝統、そしてポリシーと受け止められてきたこともあり、疑問の声も続出した。
掲示板には、
「高校野球で入場料を取るのは大反対だ!今更の話だが、高校生をアイドル扱いしてマスコミが追いかけ回す構図はいい加減止めて欲しい」
「無料の理由について高野連は『高校野球は教育の一環』だからとしていたはず。『教育』はどこに行った」
「入場を待つ列の混雑が深刻で、転倒事故などを防ぐため ?有料にする理由適当すぎィ!」
「長い長い伝統が壊れた。外でビール買って外野で無料観戦が地元民の楽しみだったのに・・・」
などといった書き込みが出た。
J-CASTニュースが18年1月25日にスポーツジャーナリストの菅谷齊さんに取材したところ、今回の発表では入場料徴収が100回記念大会限定なのか、それともこれからずっと徴収し続けるのか分からないし、そのカネが大会や選手のために使われるのか、それとも高野連の懐に入るだけなのか不明だ。しかも、これまで満員になったら札止めし入場を断っていたし、それで揉め事が起きたという話は聞かない。混雑が心配ならガードマンを増やすのにカネをかければいいはずだが、そうした話もない、と首を傾げた。
「儲け」目的だとすればファンは興ざめする
菅谷さんは、取材に対し、
「意味が分かりませんね。外野席が無料なのは大会の売り、精神のようなもの。外野に来ている人が高校野球を支えている人たちなのに、徴収したカネが『儲け』だとすればファンは興ざめしてしまうでしょうね」
と語った。
菅谷さんによれば、外野に来るのは球場近くの関西圏のファンが多く、それが一つの風物詩のようになっている。そのため500円が安いか高いかは関係なく、反発が出るのではないか、と予想している。高野連を含め高校野球が赤字で苦しいという話は聞いたことはないし、アマチュア野球ではカネの話はしない、というのが暗黙の了解だった。
「500円でも観客は来ますよ。ただし、昔はガラガラの試合が結構あって、それを知っている人たちは客が入らなければタダだから来てくれ、大勢来るからカネ寄こせ、ということかよ!?と思っています。本当に理解不能な発表をしたものです」
と菅谷さんは笑っていた。
J-CASTニュースはこうした疑問を25日に高野連にぶつけようとしたのだが、
「担当者は今週いっぱい不在で、答えられる人はいません」
ということだった。