10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金
クローン人間の禁止は、国内では「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」(2000年公布、既に施行済)で定められている。人クローン胚などを「人又は動物の胎内に移植してはならない」との条文に違反すれば、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金に処される(懲役と罰金を両方科される場合も)。
文部科学省によると、国際的には世界保健機構(WHO)が、クローン技術の人への適用は容認できない、とする決議を1997年に行っている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)も、「人のクローン個体産生は人の尊厳に反する禁止すべき行為」とする世界宣言を97年に出した。各国でも、イギリスやドイツ、カナダなどで「人のクローン個体の産生の禁止」をうたった法令が定められている。また、関係委員会資料によると、中国では2003年に生殖補助医療規定で人クローン個体の作成が禁止されるなどしている。
こうした法令的な縛りはともかく、今回、人クローンの技術的な可能性が現実味を帯びたことで、ツイッターに多く寄せられた懸念の声は、必ずしも杞憂とは言えないようだ。国際通信社の大手AFPが2015年12月3日に配信した記事(日本語版)の見出しは「『クローン工場』建設の中国科学者、ヒト複製の野心語る」。
同記事によると、中国人科学者が、現在はヒトのクローン作製には従事していない、とした上で、反発を生むので自制する必要があるが、社会の価値観は変わり得ると指摘し、将来的に人間が「子孫を残す方法について、より多くの選択肢を持つようになるだろう」との考えを示したという。