「車に積もった雪は落としてから走り出して下さい。ライダーの命がかかっております」――。バイク好きで知られる人気声優の大塚明夫さん(58)が、ツイッターでこんな注意喚起を行った。
実際のところ、車の屋根に雪が残ったまま走行すると、どのような危険があるのか。J-CASTニュースは、雪道運転時の注意点をウェブサイト上などで呼び掛けている長岡国道事務所(新潟県)に聞いた。
「ドライバーの皆様へお願いです」
2018年1月22日、首都圏では4年ぶりとなる大雪が関東地方を襲った。東京都心をはじめ各地で20センチ以上の積雪を観測。列車の遅れや運休が相次ぐなど、交通機関にも大きな乱れが出た。
影響は雪に慣れない都心のドライバーにも及んだ。NHKの報道によれば、雪が原因とみられる都内の交通事故は、22日と23日の2日間だけで806件に上った。雪によるスタックや路面の凍結によるスリップで立ち往生する車も相次ぎ、渋滞や通行止めが続発した。
こうした状況の中、愛車はハーレー・ダビットソンだというバイク好きの大塚さんは24日、
「ひとりのライダーとしてドライバーの皆様へお願いです。車に積もった雪は落としてから走り出して下さい」
とツイート。「後ろを走っているライダーの命がかかっております」と注意を呼び掛けた。
この投稿は1万5000回以上リツイート(拡散)されるなど大きな反響を呼び、フォロワーなどからは、
「事故を未然に防ぐためにもやってほしい」
「いつ落ちるかわからない雪を積んでる車はほんとに怖いです...」
「まじ迷惑だから雪落としてお願い」
「これはガチ ライダーじゃなくても危ない マリオカートの妨害みたいなもん」
といった共感の声が相次いで上がった。そのほか、「本当にお願いします 落ちてきた雪を、とっさに回避してダイナミック転倒した事あるので」と自らの体験談を明かすユーザーも出ていた。
3つの危険とは
とはいえ、雪の少ない東京都心などでは、屋根に雪を乗せたまま運転をしている車が散見された。実際、首都圏を襲った大雪から2日が経った25日になっても、ツイッター上には、
「都内雪はだいぶなくなったけど、結構屋根に積雪残したまま走っている車を見かける」 「都内、まだ屋根に凍った雪を沢山のせて普通に走ってるクルマを見かけるよ」
といった報告が複数出ているのが現状だ。
屋根の上に雪を残したまま車を運転することは、どれだけ危険なのか。国土交通省長岡国道事務所の担当者は25日、J-CASTニュースの取材に対し、大きく分けて3つの危険性があると訴える。
まず担当者が挙げたのは、周囲への危険だ。屋根の上で放置された積雪は、硬い氷状になっている場合が多いとして、
「そうした雪の塊が走行中に落ちると、後続車や周囲の歩行者にとって非常に危険です」
と訴えた。
続けて、走行中に落ちた雪が仮に後続車などにぶつからなくても、車道上に雪の塊が残ってしまい、路面状況を悪化させる危険があるとも指摘。その上で、
「急ブレーキをかけた際などに、屋根の上の雪がフロントガラスの上に落ちてくることがあります。凍って塊のようになった雪が落ちると、ワイパーでは対処できない可能性もありますので、ドライバーの視界が塞がれ非常に危険な状況となります」
とも説明した。その上で担当者は、「運転前に屋根の雪を落とすのは、雪の多い地域では常識ですよ」とも話していた。