衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの株価が年明け以降、何度も昨2017年来高値を更新している。全国的に例年より寒さが厳しいため、冬物が売れている国内ユニクロ事業が好調なうえ、海外事業の業績も上がっているためだ。
創業以来、浮き沈みを経験してきたユニクロだが、ここへきて着実に成果があがっていることを、市場が素直に評価していると言えそうだ。
「ヒートテック」など好調
株価の推移は、直近の底値は2017年9月8日の3万円ちょうど。そこからは決算内容などが好感されるなどして文字通り右肩上がりで、年明け以降はさらに上昇基調に勢いがついている。大発会(新年最初の取引日)の1月4日から3営業日連続で昨年来高値を更新したのち、1月12日からも3営業日連続で昨年来高値を更新し、株価は5万1000円台にまで上がり、その後も5万円前後で底堅い動きを見せている。直近底値から約4か月間の上げ幅は7割に達する。過去10年を振り返った場合のピーク(10年来高値)は、2015年7月30日につけた6万1970円で、これも視野に入ってきたようだ。
足元で株価が堅調な背景には、国内外の業績が良いことがある。18年1月11日に発表された17年9~11月期連結決算によると、売上高は前年同期比16.7%増の6170億円。本業の利益を示す営業利益は28.6%増の1139億円、純利益は12.7%増の785億円で、堂々たる「ふた桁増収増益」だ。
その要因の一つが、国内ユニクロ店舗で「ヒートテック」や「ウルトラライトダウン」などの秋冬物が売れたこと。この決算の対象となる17年9月から11月までの国内既存店売上高は3か月連続で前年同月を上回り、10月と11月はともに8.9%増と高い伸びを示した。客数も11月まで3か月連続で増加した。11月下旬恒例の「誕生感謝祭」セールにも多くの人が来店した。9~11月の国内ユニクロ事業の営業利益は、前年同期比18.6%増の541億円。値引き販売を抑制するなどしたことも寄与した。さほど安売りせずとも売れた、と言えるようだ。
世界戦略を本格化
中国などアジアを中心にした積極的な出店が功を奏し、海外ユニクロ事業も好決算を支えた。2017年9~11月の海外ユニクロ事業は売上高が前年同期比31.4%増の2582億円、営業利益は54.7%増の466億円に上った。海外ユニクロ事業の売上高は同じ期間の国内ユニクロ事業(2570億円)を初めて上回る画期的な決算となった。赤字が続いていた米国が黒字転換したことも利益を押し上げた。ユニクロは18年秋にスウェーデンの首都ストックホルムに初めて出店、ファストファッション大手「H&M」のお膝元での挑戦となる。ユニクロは17年秋にやはりファストファッション大手「ZARA」の地元スペインに出店したばかりで、世界戦略を本格化させている。
国内ユニクロの好調さは17年12月も続いており、既存店売上高は18.1%増。増収率は16年7月(18.1%増)以来の高い伸びだった。客数も13.5%増と高い伸びを示し、伸び率は13年8月(33.4%増)以来、4年4か月ぶりの高さだった。寒波が追い風になっているのは確かだが、下着やダウンジャケットだけでなく、海外デザイナーと組んで製作した衣類も徐々に売れ始めているようだ。そうした「下着・ダウン屋」に終わらない工夫を続けることが、高株価を持続可能にするとみられている。