「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の人気漫画「はじめの一歩」の最新話で、主人公の一歩がプロボクサーを引退すると宣言し、ツイッターは「一歩引退するの!!??」「マジかよ...」といった悲鳴であふれ返った。
はたして本当なのか?講談社の担当編集者はJ-CASTニュースの取材に「引退してしまったと言うほかありません」と告げる――。
一歩はパンチドランカーなのか
森川ジョージさんの漫画「はじめの一歩」は、「週刊少年マガジン」で1989年から連載している人気ボクシング漫画だ。プロボクシングの世界王者を目指す主人公の幕之内一歩が、ライバルたちとの戦いを通じ、ボクサーとしても人間としても成長するさまを描く。単行本は119巻を数える(2018年1月24日現在)。
ところが、パンチを打たれすぎて脳に障害が生じる「パンチドランカー」の症状を自覚していることが発覚、読者は騒然となった。そしてフェザー級フィリピン王者のアントニオ・ゲバラとの壮絶な死闘に敗れた一歩。2018年1月24日発売の同誌2月7日号に掲載された1208話「木の葉」では、ついに医師の診察を受ける場面が描かれた。
医師は「死後の脳を解剖してみないと最終的な判断ができない」と前置きしたうえで、「(試合のビデオを観たところ)あまりにも危険だ」と一歩に宣告する。
一歩はその後、所属する鴨川ボクシングジムの鴨川源二会長へあいさつに。「予備軍には間違いないらしいですが、とりあえずは健康体と言われました」と会長に明かしたうえで、頭部にさらなる打撃を浴びると(パンチドランカー)発症の危険が増すばかりだとも報告。
「引退します」
と宣言、また自らの思いを語っている(詳しくは、発売中の「マガジン」をご覧いただきたい)。
担当編集者に取材すると...
突然の「引退」宣言に、ツイッターでは「一歩引退するの!!??」「一歩!!!!!引退しないでくれよ~」「一歩が引退なんて嫌だよ...」「マジかよ...」との声が続出することに。中には、永遠のライバル・宮田一郎やWBA世界フェザー級王者のリカルド・マルチネスとの戦いを期待するファンも多かった。
「マジで一歩引退するんか...。最後に宮田との対決何とかしてくれよ」
「幕ノ内一歩が引退ってマジか...リカルドと宮田どうすんのw」
「このまま宮田一郎やリカルドと試合しないまま引退したら、はじめの一歩とは何だったのか状態になる」
はたして本当に一歩はこのまま引退してしまうのか――。J-CASTニュースは1月24日、講談社の担当編集者に取材することにした。編集者の計らいで、森川氏もこちらの質問内容に目を通してくれたという。回答は以下のとおり。
―― 一歩は本当に引退してしまうのでしょうか!? 引退を取り止める、あるいは後に復帰する可能性は...?
担当編集者 一歩は会長の前で引退すると宣言しました。現担当編集の一人であり1話目からの読者である私も大変ショックですが、「本当に引退するのか?」というご質問に関しては、一歩はすでに引退してしまったと言うほかありません。
森川先生は「自分はタイムマシンを持っている。『はじめの一歩』はそれに乗って見てきた一歩や鷹村たちの未来を、漫画に描き写してみなさんにお伝えしているだけ」とおっしゃいます。
一歩がこれからどうなるのか、森川先生がどんな未来を見てきたのか、私たちも読者のみなさんと一緒にハラハラしながら楽しみたいと思っています。それはきっとみなさんの期待を裏切るような未来ではないような気がします。
―― 一歩の引退宣言に、ネットでは惜しむ声が多く見られます。読者の反応をご覧になって、どう感じましたか?
担当編集者 今回、一歩の引退に際してたくさんのお声をいただきました。中には森川先生に対して「一歩を引退させるなんて何を考えているのだ! 『はじめの一歩』はあなたのものじゃない!」という、本当にありがたいお叱りもありました。
『はじめの一歩』は現在連載29年目。1話目から途切れることなく物語が続き、これだけの長期にわたって連載されている漫画は本作以外にはありません。
森川先生もよくおっしゃっていることですが、これはひとえに読者のみなさんの愛情に支えられてのことです。幕之内一歩の未来をみんなで見届けるためにも、これからも変わらぬ愛情と応援をなにとぞよろしくお願いいたします。