音楽バンド「東京スカパラダイスオーケストラ」の新シングル「ちえのわ feat.峯田和伸」のジャケット画像が、インターネット上で議論を呼んでいる。
ジャケットは、漫画家の藤子・F・不二雄さん(1996年死去)の作品を再現した画風で描かれたもの。「藤子・F・不二雄プロと小学館にきちんと許可取ってる...んだよね!?」。イラストレーターの中村佑介さんがツイッターでそう疑問視したことで、ネットの注目を集めるように。スカパラの公式サイトは後日、ジャケット写真の変更を発表した。
「許可取ってる...んだよね!?」
東京スカパラダイスオーケストラは2018年2月21日、ゲストボーカルにロックバンド「銀杏BOYZ」のボーカル・峯田和伸さんを迎え入れた新シングル「ちえのわ feat.峯田和伸」を発売する。シングルのジャケットには、アーティストのハシヅメユウヤさんが手がけた、涙を流した男女のイラストを採用した。
このイラストをめぐって、問題点を指摘したのは、イラストレーターの中村佑介さんだ。というのもイラストは、往年の藤子F作品にそっくりなタッチで描かれているのである。
中村さんは1月18日、ツイッターで「藤子・F・不二雄プロと小学館にきちんと許可取ってる...んだよね!?」と疑問を呈した。ハシヅメさんが「オマージュ」や「パロディ」を意図していたかどうかはともかく、藤子F作品の一場面をそのまま「拡大コピー(トレース)して、髪型、ファッション、色を変えただけのようなものも多く見受けられます」という。
中村さんはその上で、
「『オマージュ?パロディ?パクリ?』という曖昧な論議の向こう側であるこの一線を越えてしまうと、日本はコピー商品を売っても良いということになります」
と警鐘を鳴らした。
ハシヅメさんは以前から、藤子F作品を彷彿させるイラストを公開しており、インスタグラムなどでその作品を見ることができるが、「パクリでないのか」とこれに疑問を呈する向きもあった。同氏は藤子F作品を敬愛しているようで、情報サイト「TABI LABO」の取材に以前、
「最終的に僕の絵が売れても売れなくてもどっちでもいいんです。きれいごとに聞こえるかもしれないけど、僕の作品をきっかけに、藤子先生の作品の魅力に気づく人が増えて欲しい」
と回答したほど。同様の作品は、2018年1月の個展「W」でも展示した。
ハシヅメさんに取材を申し込むが...
中村さんの指摘をきっかけに、「ハシヅメユウヤの作品、著作権違反だと思うんだけど...」「え?これはどうなの?藤子・F・不二雄プロ的にどうなの?」と冷ややかな声がツイッターで続出するようになった。
ハシヅメさん本人もこの反応を察知したようで、1月19日のインスタグラムに
「皆様からお叱り等、SNSですごいので作風変えました」
と投稿、涙を流す女性のイラストの写真を掲載したが、「炎上」状態はその後も続いた。
こうした事態を受けてか、東京スカパラは1月23日、公式サイトで「東京スカパラダイスオーケストラのニューシングル『ちえのわ feat.峯田和伸』のアートワークを下記に変更させていただきます」と発表。白の無地(CD+DVD版はピンク)に手書きで「ちえのわ」と書いたシンプルなイラストに差し替える。
当のハシヅメさんは、一連の事態をどう受け止めているのか。J-CASTニュースは22日からハシヅメさんにメールで取材を申し込んでいるが、24日夜現在までに返事はない。東京スカパラの所属するレーベル「cutting edge」にも24日、電話を繰り返したが、誰も出なかった。
藤子・F・不二雄さんの漫画作品などを出版する小学館の広報担当者は、24日のJ-CASTニュースの取材に、
「(ハシヅメさんの作品が似ていると指摘を受けていることは)把握しておりますが、それに関するコメントは控えさせていただきます」
と回答している。