平昌行きは「論外」→「『政権を担う者の責任』見えた」 特ダネ産経、手のひら返しで訪韓評価

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   安倍晋三首相は2018年1月24日、2月9日に開幕する平昌五輪の開会式に出席する意向を表明した。これに先立って出席の意向を報じたのが産経新聞だ。しかも、政治報道にありがちな「政府筋によると~方針を固めた」といった書きぶりではなく、安倍首相との単独インタビューの中での発言だ。

   この特ダネの影響かどうかは不明だが、19日には1面のコラムで開会式出席を「論外」と非難していた産経新聞が、24日の解説記事では「政権を担う者の責任」が見えてきた、などと評価を一転させている。

  • 平昌五輪の開会式出席の意向を表明した安倍晋三首相(2017年10月撮影)
    平昌五輪の開会式出席の意向を表明した安倍晋三首相(2017年10月撮影)
  • 平昌五輪の開会式出席の意向を表明した安倍晋三首相(2017年10月撮影)

「行くにしろ行かないにしろ、ぎりぎりの決断だったのだろう」

   安倍首相は1月23日午後、約40分間にわたって産経新聞のインタビューに応じ、その内容が翌1月24日の朝刊に掲載された。朝日、読売、毎日の各紙が草津白根山の噴火を1面トップで報じる中、産経のトップ項目は

「首相、平昌開会式に出席 日韓合意新方針『拒否伝える』

の見出しだった。2面の解説記事では、

「首相 ぎりぎりの決断 慰安婦合意履行迫れるか」

の見出しで、

「今回の産経新聞のインタビューや、首相の周辺取材を通じてみえてきたのは、リスクを取ることをいとわず、批判を覚悟して為すべきことを為そうとする『政権を担う者の責任』だった」
「事がうまく運ばない場合は訪韓は韓国にこびた姿勢と受け取られ、厳しい批判を浴びかねない。行くにしろ行かないにしろ、ぎりぎりの決断だったのだろう」

などとして、決断に理解を示した。

   ところが、19日の1面コラム「産経抄」では、与党内から開会式出席を求める声が出ているとして、

「論外である。慰安婦問題の合意についての、韓国への失望だけではない。茶番劇になりかねない平和の祭典に首相として関われば、北朝鮮の思うつぼだ」

と非難したばかりだった。わずか5日間での豹変だ。

夕刊フジは「ふざけるな」→「韓国への最後通告」

   産経新聞が発行する夕刊紙の夕刊フジも同様だ。1月24日付(23日発行)の紙面では、1~2面にジャーナリストの加賀孝英氏による寄稿を掲載。その中で、永田町で安倍首相の開会式出席を求める声が出ていることを

「ふざけるな、だ。米国や中国、ロシア、フランスなどの首脳は参加しないではないか」
「どういう背景・忖度で安倍首相に参加を強要するのか。『平昌五輪』はもはや、北朝鮮の『核戦力』をアピールする政治ショーに変貌しつつある。安倍首相、参加すべきではない」

などと非難した。ところが翌25日付(24日発行)の紙面では、米国のペンス副大統領が同時期に訪韓して韓国政府に圧力をかける見通しを報じながら

「事実上の『日米殴り込み』は、韓国への最後通告ともいえそうだ」

と解説し、直接的な批判を避けた。ただ、記事中には4人識者が登場し、そのうち3人が開会式出席に否定的だ。

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